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夏休みに辿り着く(中村秀一)

霞が関と現場の間で

猛暑の中で

今年は7月の初めから猛暑に見舞われた。私は国際医療福祉大学の大学院で教えているが、4月からの前期の15コマの講義のほか、大学院の社会人向け公開講座である「介護事業マネジメント講座」「社会保障を分析する」のそれぞれ15コマと「支援機器講座」(これは東畠弘子教授と共同の13コマ)のコーディネートを担当していたので、結構大変であった。それに頼まれて行っている新潟医療福祉大学での15コマの講義(これはオンラインではあるが)が加わったので、やっと夏休みに辿り着いたという状態である。

地元の世田谷区の審議会などの仕事も引き受けているが、10年振りの基本計画の策定時期に当たり、その関係で仕事が増えた。気がつくと7つの会議に参加していた。加えて練馬区からも仕事を頼まれている。これ以上の戦線の拡大は避けなくてはならない。

対面での研究会の再開

主宰するフォーラムで開催している月例社会保障研究会は、コロナ禍で3回中止した後、2020年6月からオンラインで開催してきた。お陰様で2月には記念すべき100回目を迎えることができた(第1回は2012年4月)。この間、多くの講師に登壇していただいた。何よりも毎回多くの皆様の参加に支えられて持続することができている。有難いことだ。

6月には3年3月ぶりに対面の研究会を再開した。会場のプレスセンターに入るとホームグランドに戻った気分になった。国立社会保障・人口問題研究所の岩澤美帆部長に新将来推計人口について講演していただいたが、会場からの質疑も活発で、対面ならではの手応えを感じた。

後輩の諸君のこと

通常国会が終了し、厚生労働省の幹部の人事異動があった。いわば定例の異動であるが、医務技監や何人かの局長など知り合いが退職となった。医薬・生活衛生局長で退官した八神敦雄さんもその一人。私が1987年の5月に北海道庁に出向した際、東京の公務員宿舎からの引越しに手伝いきてくれたのが入省1年目の八神君であった。その彼が公務員生活を卒業する。月日の経つのが早いことに驚くばかりだ。

そんな感慨に浸っていたところ、旧厚生省のOGである椋野美智子さんが日田市長選で4期目を目指す現職にダブルスコアで勝利したとの知らせが入った。『はじめての社会保障』(有斐閣刊)で椋野さんとの共著者である田中耕太郎さんからのメールである。4年前の市長選では惜敗であったので、この間の彼女の苦労を思うと頭が下がる。市民のための良い市政を実現することを願いたい。

(本コラムは社会保険旬報2023年8月1日号に掲載されました)

中村秀一(なかむら・しゅういち)
医療介護福祉政策研究フォーラム理事長
国際医療福祉大学大学院教授。1973年、厚生省(当時)入省。 老人福祉課長、年金課長、保険局企画課長、大臣官房政策課長、厚生労働省大臣官房審議官(医療保険、医政担当)、老健局長、社会・援護局長を経て、2008年から2010年まで社会保険診療報酬支払基金理事長。2010年10月から2014年2月まで内閣官房社会保障改革担当室長として「社会保障と税の一体改革」の事務局を務める。この間、1981年から84年まで在スウェーデン日本国大使館、1987年から89年まで北海道庁に勤務。著書は『平成の社会保障』(社会保険出版社)など。


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