協会けんぽの2020年度決算は過去最高の6183億円の黒字(7月2日)
協会けんぽは7月2日、2020年度決算見込みを発表した。収支差は6183億円の黒字で過去最高で、11年連続の黒字決算となった。この結果、2020年度末の準備金残高は4兆円を超えた。
2020年度決算では、収支ともに新型コロナの影響を受けている。
収入をみると、9割近くを占める保険料収入は景気低迷によって標準報酬月額や賞与が減少したことと、保険料の特例納付猶予制度によって前年度比▲1321億円、▲1.4%の9兆4618億円。全体では前年度比▲1047億円、▲1.0%の10兆7650億円となった。 支出をみると、6割に相当する保険給付費は対前年度比▲1799億円、▲2.8%の6兆1870億円。全体では前年度比1831億円、▲1.8%の10兆1467億円となった。保険給付費の減少は、加入者の受診控えや感染予防対策によるかぜ・インフルエンザなど呼吸器系疾患が減少したことで、加入者1人当たり医療給付費が▲3.5%と減少したことによるもの。1人当たり医療給付費が減少したのは2008年の協会発足後初めて。
このように保険料収入等の収入の減少に対し、保険給付費等の支出の減少額が上回ったことから、2020年度の収支差は6183億円で、前年度比784億円の増加となった。
一方、準備金残高は前年度の3兆3920億円から6183億円増加し、過去最高の4兆103億円となった。協会けんぽは法定準備金として保険給付費等に必要な額の1か月分を積み立てなければならないが、5か月分に相当する。準備金が法定以上に積み上がった場合、国庫補助を減額して国庫に返納させる仕組みがあることから、333億円減額されることになっている。
今後の見通しについて協会けんぽは、「収入は経済状況の先行き不透明であることから保険料収入の見通しも不透明である。一方、支出面では医療給付費はコロナの影響による加入者の受診動向の変化で2020年4月、5月は大幅に減少したものの、徐々にコロナ禍前の水準に戻りつつあることや、団塊の世代が75歳以上に達する2022年度以降は後期高齢者支援金の増加が見込まれることから、協会けんぽの財政は楽観を許さない状況である」としている。