働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用在り方懇談会が初会合
厚生労働省は2月13日、働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会の初会合を開いた。被用者保険(厚生年金保険・健康保険)のさらなる適用拡大に向けて、関係団体等へのヒアリングなどを実施しながら今後の対応を検討し、今夏までに意見をまとめて社会保障審議会年金部会に報告する。
座長には、年金部会の部会長も務める菊池馨実氏が就いた。
検討事項には、短時間労働者および個人事業所(非適用業種)に対する適用拡大と、複数の事業所で勤務する者やフリーランス・ギグワーカーなど多様な働き方を踏まえた被用者保険のあり方―などが挙がる。
被用者保険の適用拡大については、政府の全世代型社会保障構築会議の報告書において、勤労者皆保険の実現に向けて企業規模要件の撤廃、個人事業所の非適用業種の解消、週20時間未満の短時間労働者への適用拡大などを着実に進める方針が示されていた。また、複数の事業所で勤務する者(マルチワーカー)、フリーランス、ギグワーカーで働く者の社会保険の適用のあり方も検討事項とされている。
適用拡大に伴う医療保険者等への財政影響を懸念
この日は会議に参加した構成員が一人ずつ意見を表明したが、適用拡大を推進する政府方針自体には賛同する意見が相次いだ。ただ、適用拡大に伴い保険料負担が増加する企業、財政的な影響が生じる医療保険者に関しては、慎重な検討と必要な配慮を求める意見が出された。
特に医療保険者については、適用拡大に伴い勤労者である被保険者が流出する市町村国保、所得が少ない短時間労働者の被保険者が流入する健康保険組合および協会けんぽ、双方から財政影響への懸念が示され、今後の対応に向けた論点となりそうだ。