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INESがたばこを止められない人の健康被害を減らす「ハームリダクション」の研究会を設立(2023年6月22日)

新時代戦略研究所(INES)は6月22日、「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」の設立を発表した。たばこをやめられない人の健康被害を少なくするため、紙たばこから加熱式タバコ(電子たばこ)への移行を促す「ハームリダクション」の考え方に基づき、税のあり方などについて提言を行っていく方針を示した。

INESの朝井淳太代表は、現在、加熱式たばこの税率を現行の紙巻きたばこと同率まで引き上げる案が政府で議論されていると説明した上で、「この措置は、海外で普及し始めているハームリダクションの考え方に逆行し、再び受動喫煙や健康被害のリスクを高めてしまうことが懸念される」と指摘。今後、政府に提言を行っていくため、有識者による研究会を設立したと話した。

研究会は、①紙巻きたばこのみを増税する②紙巻きたばこと加熱式たばこの税率差を維持または拡大しながら両方の増税を行う―の2案を検討していく。

同研究会のメンバーの有識者は次の7名。

  • 小黒一正(法政大学経済学部教授)

  • 可部哲生(東京大学大学大学院法学政治学研究科客員教授(元国税庁長官))

  • 渋谷健司(東京財団政策研究所 研究主幹)

  • 瀬尾傑(スローニュース株式会社代表取締役)

  • 武田俊彦(ボストン・コンサルティング・グループシニアアドバイザー(元厚労省医政局長))

  • 土居丈朗(慶應義塾大学経済学部教授)

  • 政井貴子(SBI金融経済研究所株式会社取締役理事長)

渋谷氏は、「公衆衛生の観点からいうと、世界的にたばこは死亡や障害の最も大きなファクターだ。日本では、リスクに対してゼロか一かの考え方が強い。しかし諸外国では、『どうしても止められない人のリスクをどう軽減するか』というハームリダクションというコンセプトのもとで政策が進められている」と説明した。

武田氏は、「厚労省としては、たばこは基本的に健康に悪いものとして禁煙を推奨してきた。日本では、たばこについて科学的な議論がなかなか進まない。しかし、たばこの健康被害の医療保険財政への影響は約2兆5千億円に上るというデータもあるため、その被害を行動変容で減らすためのツールをきちんと議論したほうがよい」と述べた。

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