再分配前の所得格差は過去2番目の大きさに――令和3年所得再分配調査結果
厚生労働省は8月22日、令和3年所得再分配調査結果を公表した。この調査は、社会保障制度の給付と負担、税負担が所得の分配にどのような影響を与えているかを明らかにするもので、おおむね3年ごとに実施しているが、今回の調査はコロナ禍の影響により1年遅れて実施した。
所得再分配調査では、0から1の間で数値が高いほど格差が大きいことを示す「ジニ係数」を算出するが、令和3年調査では年金などの社会保障給付を含まない当初所得のジニ係数が0.5700となり、平成26年調査の0.5704に次ぐ大きさとなった。厚労省は、高齢化が進むことで現役世代が減少し、それに合わせて当初所得も低下するため、当初所得のジニ係数も大きくなるとしている。社会保障や税による再分配後のジニ係数は0.3813となり、平成11年調査以降は0.38前後の横ばいで推移している。再分配による改善度は33.1%で、厚労省は社会保障や税の再分配機能が十分機能しているとしている。
一世帯当たりの平均当初所得は423.4万円で、この当初所得から税金52.4万円と社会保険料56.7万円を差し引き、社会保障給付189.8万円を加えた再分配所得は504.2万円となった。これを当初所得に対する比率で見ると、社会保障給付は44.8%、社会保険料は13.4%であり、差し引き31.4%が一世帯当たり平均で社会保障によるプラスとなっている。