東京都医師会がかかりつけ医機能について見解示す 「地域医療育成人材事業」に着手(2月14日)
東京都医師会は2月14日の会見で、都市におけるかかりつけ医機能は、地域の各診療科の医師が連携して担うことが現実的との見解を示した。また、開業を予定する病院勤務医に対して研修等を行う地域医療育成人材事業の準備を進めていると発表した。
尾崎治夫会長は、「今の日本の医療現場や診療所の医師の年齢を考えると、一人で24時間、あらゆる機能を担うのは難しい。東京のような大都市には専門性を持つ医師がたくさんいる。複数の医師が専門性を活かしながら連携して、かかりつけ医機能を発揮するのが現実的だ」と述べた。
かかりつけ医機能を提供するための医師の連携においては、内科の医師だけでなく、耳鼻科や皮膚科、眼科の医師にも参加してもらい、在宅の患者にも幅広い領域の医療を提供できるようにすることが望ましいとの考えを示した。
土谷明男理事は「地域医療人材育成事業」の検討を進めていることを発表した。大学病院等で専門性の高い医療を提供していた医師が、地域で診療所を開業する際に、地域医療に参画しやすくすることをめざす。
同事業では、開業前の医師に、講義などの研修を提供するほか、地域の中小病院に実際に勤務して地域医療の状況を知ってもらう。
土谷理事は、「地域の医療や介護の現状を見てもらい、地域での人間関係のネットワークを構築したうえで、開業してもらうのがいいのではないか」と述べた。
5類転換に危機感「介護の崩壊は医療の崩壊に直結」
平川博之副会長は、新型コロナが感染症法の分類上、2類相当から5類に変わることによる介護施設への影響について説明した。高齢者の新型コロナの重症化率は2.49%、致死率は1.99%で、季節性インフルエンザよりいずれも高い。高齢者施設はコロナの感染対策を継続せざるをえないとして、5類への転換後も、行政からのかかり増し経費への支援を継続することを求める高齢者施設が多数であると強調した。
「コロナの影響を受けて老健施設の約3分の1が赤字であり、5類変更後に行政からの支援が切れたら経営が成り立たなくなるところが出てくる。介護の崩壊は医療の崩壊に直結する」と危機感を示した。