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新型コロナ対応踏まえ第8次医療計画に新興感染症等の項目を記載(12月9日)

厚労省の「第8次医療計画に関する検討会」は12月9日、改正感染症法等が成立したことを受け、第8次医療計画に盛り込む新興感染症等対応の記載に向け議論を行った。

基本的には、改正感染症法等の内容や予防計画の記載予定事項の整合性などを踏まえた記載とし、新型コロナ対応の実績を参考に、数値目標などを設置する。

平時からの都道府県の取組みとしては、感染症発生・まん延時の地域における医療機関の役割を明らかにしながら、「感染症医療提供体制」の確保と「通常医療提供体制」の維持を図る。感染症・まん延時における5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)などについては別途、とりまとめが行われているが、共通となる考え方は、新興感染症対応における医療の項目に適宜記載する。

計画の策定にあたっては、「まずは現に対応しており、これまでの対応の教訓を生かすことのできる新型コロナへの対応を念頭に取り組む」。その際、新型コロナ対応で、感染状況のフェーズを設定していることを踏まえ、フェーズに応じた取組みとする。事前の想定と大きく異なる場合は、その感染症の特性に合わせ、都道府県と医療機関との協定を見直すなど、実際の状況に応じ機動的な対応を行う。

医療計画に記載する数値目標については、新型コロナ対応の実績を参考にした。具体的には、▽流行初期医療確保措置による病床数▽流行初期医療確保措置で発熱外来に対応する医療機関数▽自宅療養者等に医療を提供する医療機関数▽後方支援を行う医療機関数▽医療人材の派遣可能人数▽個人防護具の備蓄量・医療機関数─などがある。

都道府県は令和5年度中に予防計画・医療計画を策定

奈良県立医科大学教授の今村知明委員は、「医療計画の数値目標はストラクチャー・プロセス・アウトカムの3つに分類されるが、今回の案はストラクチャーが中心となっている」と指摘。厚労省担当官は、「改正感染症法等の法定事項も踏まえ、まずはストラクチャーの数値目標が中心になると考えている。将来的には、さらなる数値目標を検討したい」と回答した。健保連専務理事の河本滋史委員は、「新型コロナ対応での病床逼迫は、全体の病床が足りなかったから生じたわけではない。人口減少、少子化も進行している。病床数の目標については、基準病床数を基本に考えるべき」と病床が増えることに警戒感を示した。

医療計画における新興感染症対応の記載については、今後、予防計画の基本方針などとの整合性を図りながら、議論をまとめる。改正感染症法等の令和6年6月施行に向け、都道府県は令和5年度中に予防計画・医療計画を策定する必要があることから、できる限り早く議論をまとめるとの考えだ。

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