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医療DX工程表とりまとめ――共通算定モジュールは26年度から本格提供、介護情報の共有は26年度から、30年までに電カル情報共有へ(2023年6月2日)

6月2日、第2回医療DX推進本部が首相官邸で開催され、医療分野のDX化を進めていくための「医療DXの推進に関する工程表」をとりまとめた。

医療DX工程表については、3月8日に開催された第2回医療DX推進本部幹事会において「骨子案」が公表され、同日からパブリックコメントに付されていたもので、5月29日の第3回医療DX推進本部幹事会において「工程表(案)」として決定されていたものである。

医療DX工程表をとりまとめたことを踏まえ岸田総理大臣は、「❶全国医療情報プラットフォームについては、今年度より電子カルテ情報の共有システムの開発に着手するとともに、介護情報等についても順次共有できるようにする。❷クラウドベースの標準型電子カルテを開発し、遅くとも2030年には概ね全ての医療機関において、医療情報を共有できることを目指す。❸診療報酬改定DXについては、診療報酬と患者負担の統一的な計算プログラムである共通算定モジュールを開発し、2026年度より本格的に提供する」と述べた。

医療DXの推進に関する工程表〔全体像〕

❶全国医療情報プラットフォーム

➀電子処方箋

全国医療情報プラットフォームの一部となる電子処方箋を、25年3月までに、オンライン資格確認を導入した概ねすべての医療機関・薬局に導入することを目指して必要な支援を行う。また、23年度内にリフィル処方等の機能拡充を実施するほか、24年度以降、院内処方への機能拡充や重複投薬等チェックの精度向上などに取り組むこととしている。

②電子カルテ情報共有サービス(仮称)

電子カルテ情報を医療機関・薬局の間で共有するための電子カルテ情報共有サービス(仮称)については、23年度中にシステム開発に着手するとともに、24年度中に電子カルテ情報の標準化を実現した医療機関等から順次運用を開始する。

➂介護情報の共有

23年度中に共有すべき情報やシステム方式の検討、自治体における業務フローの見直しを行い、24年度からシステム開発を行った上で希望する自治体において先行実施し、26年度から全国実施をしていく。

❷電子カルテ情報の標準化等

➀電子カルテ情報の標準化

3文書6情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)の共有を進めるほか、23年度に透析情報及びアレルギーの原因となる物質のコード情報について、24年度に蘇生処置等の関連情報や歯科・看護等の領域における関連情報について、標準規格化を行う。さらに、24年度中に、特に救急時に有用な情報等の拡充を進めるとともに、救急時に医療機関において患者の必要な医療情報が速やかに閲覧できる仕組みを整備することとしている。

また、医療情報を薬局側に共有できるよう、薬局におけるレセコン・薬歴システムにおける標準規格(HL7 FHIR)への対応を検討することも示されている。

②標準型電子カルテ

標準規格に準拠したクラウドベースの電子カルテについては、24年度中に開発に着手し、一部の医療機関での試行的実施を目指すとともに、遅くとも30年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すことが明記された。

❸診療報酬改定DX

24年度において、マスタと電子点数表を改善し提供する。併せて、診療報酬点数表におけるルールの明確化・簡素化を図るとともに、診療報酬の算定と患者の窓口負担金計算を行うための「共通算定モジュール」の開発を進め、25年度にモデル事業を実施した上で、26年度において本格的に提供することが示されている。

その上で、共通するマスタやモジュール、標準様式を実装した「標準型レセコン」について、標準型電子カルテとの一体的な提供も行うことで、コスト縮減の観点も踏まえ、医療機関等のシステムを抜本的にモダンシステム化していくこととされている。

このような取組みにより医療機関等の間接コストや作業負担の軽減を図るとともに、診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しに関して、実施年度及び施行時期について、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて検討することとされている。

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