年金事業管理部会が年金機構の第4期中期目標・中期計画及び令和6年度計画を了承
第72回社会保障審議会年金事業管理部会(部会長=増田寛也 日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)が2月14日開催され、日本年金機構の第4期中期目標、第4期中期計画及び令和6年度計画が了承された。
日本年金機構法では、厚生労働大臣は3年以上5年以下の期間において日本年金機構が達成する業務運営に関する目標とする中期目標を定め、これを機構に指示するとともに公表。中期目標は社会保障審議会に諮問される。また、機構は、中期目標に基づき、その目標を達成するため中期計画を作成。厚生労働大臣の認可を受けなければならない。さらに、機構は毎事業年度、中期計画に基づき、当該事業年度における業務運営に関する計画として年度計画を作成。当該事業年度の開始前に厚労大臣の認可を受け、機構は中期計画及び年度計画を公表する。
第4期中期目標(令和6年4月~令和11年3月)では、
○基幹業務の安定的かつ着実な推進(国民年金保険料納付率の更なる向上への取組、被用者保険の適用拡大への実効性ある取組)
○年金制度改正等の事項に係る円滑かつ着実な対応
○デジタル化への積極的な対応(事業所に対する取組として、小規模の事業所等における電子申請の利用を促進するとともに、事業所向けの電子送達サービスについて機能拡充及び利用促進する。個人に対する取組として、マイナンバーカード、マイナポータル、「ねんきんネット」の認証連携をベースとしたオンラインサービスを拡充。サービス実施済みの扶養親族等申告書等の電子申請や国民年金保険料控除証明書等の電子送付、今後実施予定の老齢年金請求の電子申請等について普及啓発を実施する。また、システムの刷新フェーズ2として、年金記録を安全・確実に移行させることを最優先として着実に推進する。)
○女性活躍の促進、働き方改革の推進(女性管理職比率の向上、男性の育児休業取得率向上など)
――を重点目標と位置づけた。
第4期中期目標に基づき、機構が策定した第4期中期計画では、「年金制度を実務として正確かつ公正に運営し、年金受給者に正しく確実に年金をお支払いすることにより、無年金・低年金を防止するという機構のミッションを引き続き果たしていくため、年金制度を取り巻く環境の変化に対し、デジタル化の一層の推進などにより適切に対応し、引き続き「制度を実務に」という基本コンセプトの下、絶えざる組織改革・ビジネスプロセス改革等を実行しつつ、第3期中期目標期間の取組を一層進展させ、国民から信頼される効率的で安定した業務運営を行う社会経済インフラとして、お客様の現在、未来を支えていく組織を目指す」と、そのコンセプトを示した。
第4期中期計画を受け、機構は、その初年度となる令和6年度計画を策定。令和6年における機構の組織目標を「更なる高みへの挑戦―信頼され続ける組織であるために―」として、組織目標の達成向け、「基幹業務の安定的かつ着実な推進」、「年金制度改正等の事項に係る円滑かつ着実な対応」、「デジタル化への積極的な対応」、「安定的な業務運営を支える組織作り」を重点取組施策と位置づけ取り組むとしている。「基幹業務の安定的かつ着実な推進」では、国民年金保険料の納付率について、未納者属性や地域特性を踏まえた効率的・効果的な収納対策、お客様のニーズや今後のキャッシュレス化等を踏まえた納めやすい環境をさらに整備。現年度納付率の13年連続の前年比向上、最終納付率の80%台の安定的な確保と持続的向上に取り組む。また、厚生年金保険については、適用調査対象事業所を着実に減少させ、滞納事業所及び法定猶予事業所に対する適正な履行管理を行うことで、前年度と同等以上の収納率水準を確保する。年金給付については、今後の老齢年金の相談・請求件数の増加に備え、お客様相談室の体制を整備。正確な年金給付の実現に向けた各種対応に取り組んでいく。また、「デジタル化への積極的な対応」では、さらなるお客様の利便性の向上。正確・迅速かつ効率的な事務処理の実現を目的として、サービスのオンライン化、デジタルワークフローの確立に引き続き取り組むほか、令和6年6月から始まる電子
申請で提出された老齢年金請求書等の画面審査・電子決済の実施といったシステム開発等の年金給付業務のデジタル化、ICT基盤の再構築に取り組むとしている。