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働き方改革への診療報酬の対応で診療側と支払側が対立(10月18日)

中医協は10月18日の総会で、働き方改革の診療報酬における対応をめぐり議論を行った。医療機関の働き方改革への取組みを診療報酬で評価することの基本的な考えで、診療側と支払側の意見が対立した。

支払側は、「働き方改革、地域医療構想の実現、医師偏在対策の三位一体の改革の推進はまだ始まったばかりなのに、診療報酬が先じて評価することに違和感がある」、「患者の対価として考えると、医療安全など具体的な恩恵がわからずに、負担が増えるのは理解されにくい」などを主張した。

診療側は、「医師の働き方改革は三位一体の改革の推進の中で、待ったなしの取り組みであり医療機関の経営に直結する問題」、「医師など医療従事者の手当など人件費やシステムの整備にコストがかかることを理解してほしい」などを主張した。

一方、厚労省は、医師の働き方改革で医師労働時間短縮計画が義務化される見込みのB水準(年1860時間)適用の病院などを想定し、時短計画に盛り込まれる項目を、総合入院体制加算や医師事務作業補助体制加算などの要件になっている医師の負担軽減のための計画に追加し、評価する方向性を示した。今後、医師の働き方改革の議論の進捗に応じて、具体的な論点を示していくとした。

同日の総会では、rt‐PA静注療法を実施する超急性期脳卒中加算(入院初日1万2千点)について、一次搬送した施設で所定時間内にrt‐PAを投与すれば、患者が入院せず専門的な治療を行える施設に二次搬送した場合でも、算定できるよう施設基準や算定要件を見直すことで概ね合意した。

現行では、入院料の加算のため、入院しないと加算できない。rt‐PAを投与後に専門医療機関に二次搬送する「Drip and Ship法」の安全性が確認されたことを踏まえた。

また、日本脳卒中学会による「rt‐PA静注療法適正治療指針第二版」に定める「治療を行う施設」の基準が緩和されたことから、それにあわせて診療報酬の施設基準や算定要件を見直すことでも概ね合意した。  

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