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被災地の診療報酬で特例 能登半島地震(2024年1月2日)

能登半島地震の発生を受けて厚生労働省は1月2日および7日、被災地と被災地以外に区分して、診療報酬の取扱いを示した。

「被災地」については、仮設建物での継続、処方箋を持参できない場合の調剤、定数超過入院・人員配置基準といった施設基準等について柔軟な対応を認めている。なお「被災地」とは、災害救助法が適用された市町村をさしており、11日現在で新潟・富山・石川・福井県の35市11町1村が対象となっている。

そのほか、「被災地」における主な特例的対応は以下の通りとなっている。


DMATなどの診療は災害救助法の補助対象であり保険診療ではない

都道府県知事の要請に基づき、日本赤十字社の救護班やDMAT、JMATなど、ボランティアが避難所等で行った医療に係る経費は、①薬剤、治療材料等の実費、②救助のための輸送費や日当・旅費等の実費―などを災害救助法の補助対象としており、これを保険診療として取り扱うことはできない。したがって、保険診療としての一部負担金を患者に求めることはできない。

また、被災地の保険医療機関の医師等が、各避難所等を自発的に巡回し、診療を行った場合や、その際に訪れた避難所等において偶然、普段外来にて診療している患者の診察、処方等を行った場合であっても保険診療として取り扱うことはできない。災害救助法の適用となる医療については、県市町村に費用を請求する。

調剤についても同様に、避難所や救護所等において診察を受けて発行された処方箋による調剤は、保険調剤として取り扱うことはできない。災害救助法の適用となる医療については、県市町村に費用を請求する。

なお、災害により避難所や救護所等において発行された処方箋は、当該処方箋に「災」(丸で囲んだ記号)と記されている場合もあるが、災害救助法の適用が明らかな場合は保険診療としては取り扱われない。処方箋の交付を受けた場所を患者に確認するなどの留意が必要としている。

避難所に居住する患者に訪問診療料を算定できる場合

被災地の保険医療機関の医師等が、通院による療養が困難な患者に対して、当該患者が避難所にある程度継続して居住している場合に、定期的な診療が必要と判断され、患者の同意を得て継続的に避難所を訪問して診察を行った場合は、訪問診療料・歯科訪問診療料を算定できる。

なお、同じ避難所等に居住する複数人に同一日に訪問診療を行う場合は、「同一建物居住者」の取扱いとするが、避難所等において、「同一世帯」の複数の患者を診察した場合は、医科の場合、1人目は「同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降の患者については、初診料または再診料(外来診療料)および特掲診療料のみを算定する。

歯科の場合は、同一日に診療を行う人数により、歯科訪問診療1(1人のみの場合)、歯科訪問診療2(2人以上9人以下の場合)または歯科訪問診療3(10人以上の場合)のいずれかにより算定する。

避難場所での在宅時医学総合管理料(施設入居時等医学総合管理料)、往診料の取扱い

在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料については、当面、避難所においても、被災前の居住場所に応じた区分に従って算定することができる。ただし、避難場所が分散し、被災前の居住場所と比べ、「単一建物居住患者の人数」が減少した場合には、減少後の人数に基づいて算定できる。

往診料については、避難所に居住している患者であって、定期的に外来による診療を受けている者からの求めがあり、当該外来による診療を行っている被災地の保険医療機関の医師等が避難所等に赴き診療を行った場合においては算定できる。ただし、2人目以降については往診料は算定できず、再診料の算定となる(通常の往診料と同じ取扱い)。

定数超過入院になった場合

被災地の保険医療機関が、医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合、原則として、実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を当面算定する。

■会議室等、病棟以外に入院した場合

速やかに入院すべき病棟へ入院させることを原則とするが、必要とされる診療が行われている場合に限り、届出を行っている入院基本料のうち、当該患者が入院すべき病棟の入院基本料を算定する。この場合、当該患者の状態に応じてどのような診療や看護が行われているか確認できるよう、具体的に診療録、看護記録等に記録する。なお、単なる避難所としての利用の場合は算定できない。災害救助法の適用となる医療については、県市町に費用を請求する。

■「医療法上、本来入院できない病棟に入院」または「診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院」

精神病棟に精神疾患ではない患者が入院した場合や、回復期リハビリテーション病棟に施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合などは、「入院基本料を算定する病棟の場合」は、入院した病棟の入院基本料を算定する(精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定)。ただし、結核病棟については、結核病棟入院基本料の注3の規定に係らず、入院基本料を算定する。

「特定入院料を算定する病棟の場合」は、医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により、算定する入院基本料を判断する。一般病床の回復期リハビリテーション病棟に入院した場合は15対1の看護配置を求めていることから、15対1一般病棟入院基本料を算定する。

「転院を受け入れた場合」の平均在院日数等の取扱い

■被災地の保険医療機関において、被災地の他の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり転院の受け入れを行った場合

医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合を含め、当該他の医療機関から転院させた患者を含めて平均在院日数を算定する。

ただし、平均在院日数が入院基本料等の施設基準を超えた場合であっても、当面の間、従前の入院基本料を算定できるものとし、特別入院基本料の算定は行わない。

■被災地の保険医療機関において、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院した場合

例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合などは、医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合を含め、当該他の医療機関から転院させた患者を含めて平均在院日数を算定する。ただし、平均在院日数が入院基本料等の施設基準を超えた場合であっても、当面の間、従前の入院基本料を算定できるものとし、特別入院基本料の算定は行わない。

■転院の受け入れを行った場合の入院日

被災地の保険医療機関において、被災地の他の保険医療機関が災害等の事情により診療の継続が困難となり、当該他の保険医療機関から転院の受け入れを行った場合の入院日については、当面の間、特別の関係にあるかどうかにかかわらず、当該保険医療機関に入院した日を入院の日とする。

平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率、医療区分2・3の患者割合を満たさなくなった場合

被災前にこれらの施設基準を満たしていた保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により患者を入院させたことにより、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度(特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料を除く)、在宅復帰率、医療区分2または3の患者割合を満たさなくなった場合については、当面の間、直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない。

なお、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料の治療室に、やむを得ず本来当該治療室への入院を要さない患者を入院させた場合は、当該保険医療機関の入院基本料を算定した上で、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の算出から除外する。

入院時食事療養(Ⅰ)、入院時生活療養(Ⅰ)の取扱い

被災地の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、入院時食事療養または入院時生活療養の食事の療養たる提供を適時に、かつ適温で行うことが困難となった場合については、当面の間、従前の入院時食事療養費または入院時生活療養費を算定できる。

「データ提出加算」に係るデータ提出が困難な場合等の取扱い

被災地の保険医療機関において、「DPC導入の影響評価に係る調査」への適切な参加および「データ提出加算」に係るデータ提出が困難な場合、1~3月診療分のDPC事務局へのデータの提出期限は1月22日となっているが、当該提出期限は、当分の間延長する。提出期限日は追って連絡予定としている。

事務連絡

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