日慢協の橋本会長、療養病棟の医療区分制度の見直しを(1月12日)
日本慢性期医療協会の橋本康子会長は12日の会見で、療養病棟の医療区分制度の見直しを求めるとともに、日慢協の今後の取り組み課題として臨床指標(CI)の調査・研究や慢性期DPCの研究をあげた。
日慢協は、現行の療養病床が治療目的であることを明確にするため、名称を「慢性期治療病床」に変更することを提言しており、会見では慢性期治療病床確立に向けた方策を提案した。
療養病棟の医療区分制度については、「医療とADLをそれぞれ3区分し、重度であるほど高点数とされている」「医療区分には難病など改善困難な疾患と、改善すべき疾患とが混在している」と指摘。
その上で、医療区分の問題点として、①改善困難な患者の医療区分は下がりにくい。その結果、療養病床での改善は数%と治療成果(アウトカム)が出ないように見えてしまう②医療区分は「現在の状態」のみを評価している。そのため、アウトカムを見えにくくし、改善すると点数が下がる③制度も患者も混在しているため、アウトカムが見えにくい。また、アウトカムへのインセンティブも働きにくい―をあげた。
「慢性期DPC」将来的な課題
橋本会長は「慢性期治療病床は療養だけでなく治療も行っているため、患者が入院して治療して回復したら資源投入量に応じた点数設定にしてもらいたい。今はそのようになっていないので、アウトカム重視の評価をしてほしい」と述べた。一方、医療資源を投入しても改善が見込めない患者に対しては、介護医療院で医療・介護・看取りをすることで、慢性期治療病床との機能分化を提案した。
ただ、具体的な評価方法については確立していないことから、日慢協の取り組むべき課題として「急性期医療はDPCがあってアウトカムが出やすくデータも多くとれるが、慢性期医療はそこまで行ってない。そのため日慢協としては慢性期における臨床指標の調査・研究を進め、データに基づいた議論をしていきたい。現行制度における評価では出来高払いだが、先々を考えると慢性期DPCの方向に行くのかなとも思う」と述べ、将来的な課題として慢性期DPCの研究をあげた。