ケアマネジャーの法定業務等を整理し制度改正へ――第6回ケアマネ検討会を開催(2024年12月2日)
厚生労働省は本日12月2日、「第6回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」を開催。検討会における中間整理案が示された。
中間整理案は大筋の流れに了解を得られたものとし、修正・意見の取入れは座長に一任。
今後中間整理として厚生労働省のホームページ上で公表され、社会保障審議会介護保険部会へと報告される。
中間整理案は、4つのテーマ「1.ケアマネジャーの業務の在り方について」「2.人材確保・定着に向けた方策について」「3.法定研修の在り方について」「4.ケアマネジメントの質の向上に向けた取組の促進」にそって取りまとめ。
利用者のために質の高いケアマネジメントを実現する観点から、ケアマネジャーがケアマネジメント業務に注力することができるよう業務整理や負担軽減を図りつつ、なり手を確保していくことを喫緊の課題として整理した。
このうち1つ目のテーマ、「1.ケアマネジャーの業務の在り方について」では、ケアマネジャーが対応せざるを得ないシャドウワークなども含めて、居宅介護支援事業所における業務の在り方を整理。
「①法定業務」「②保険外サービスとして対応しうる業務」「他機関につなぐべき業務」「対応困難な業務」等に分類されるとし、具体的な業務イメージも示された。
法定業務以外の業務については地域課題として地域全体での対応を協議するべきものとする。
そのため、基本的には市町村が主体となって、必要に応じて社会資源の創出を図るなど、切れ目ない支援ができる地域づくりを推進するべきとした。
報酬での正当な評価や処遇改善を求める声も
認知症の人と家族の会の花俣ふみ代構成員は、ケアマネジャーの業務について、「法定業務ではない業務を除外した場合受け止める保険外サービスや他機関はあるのか」と疑問を呈するとともに、利用者の負担増について懸念。
法定内業務を広げることで、介護報酬による正当な評価をすべきではないかと問いかけた。
生駒市特命監の田中明美構成員は、シャドウワークは高齢者の部門だけでないと指摘。障害者や児童部門でも専門職が行わざるを得ない環境にあることから、重層的支援体制整備事業の他でもしっかりと市町村・都道府県で考えていかなければならないと訴えた。
中間整理案では、主任ケアマネジャーの業務に関し、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターにおける配置について、地域の実情に追う下柔軟な配置(兼務や業務委託等)も含めて検討する旨が示されていた。
これに対し、全国地域包括・在宅介護支援センター協議会の川北雄一郎構成員は、それぞれが課題を抱え、その役割も分化させていく方向に進んでおきながら、主任ケアマネジャーの兼任を認めることは「無理が生じるんじゃないか」と懸念。むしろ各役割を明確にし、主任ケアマネジャーとなるための研修体系そのものも分けるなど、見直していく方向性について言及した。
日本大学の内藤佳津雄構成員も、まずは人員確保や主任ケアマネジャーになりやすい研修の仕組みなどを検討した上で、どうしても難しい場合の「補助的な役割」として兼務を考えるべきとの考えを示した。
2つ目のテーマ「2.人材確保・定着に向けた方策について」では、10年以内にはケアマネジャーの担い手は急激に減少していくとの見込みが示されている。
これを受け、日本医師会の江澤和彦委員はケアマネジャーの処遇改善について言及。
処遇改善は本年度の報酬改定により一定程度実施されたものの、他産業と比べて「まだまだ不十分な状況」として、いかに改善を図るかが検討課題であるとした。
日本介護クラフトユニオンの染川朗構成員も、処遇改善は共通の認識であると指摘。可及的速やかに対応するよう訴えた。
検討会における中間整理は今後の公表後、介護保険部会に報告される。
その後、制度改正・報酬改定に向けた議論へと進められていく見込みとなっている。