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薬価差の偏在を問題視 厚労省の医薬品有識者検討会が議論(2023年3月17日)

厚生労働省の医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会(遠藤久夫座長)は3月17日、薬価差について議論した。厚労省は、薬局に薬価差が偏在することを論点にあげた。

厚労省は薬価差が発生する要因を①取引条件の違いから必然的に発生するものと②薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉や販路拡大のための値下げ販売により発生するもの―の2点に整理した。

その上で、「許容される合理的な薬価差を超えて過度な薬価差が発生している場合には、適切な市場流通の確保という観点から一定の是正を求めていくことは考えられる」との姿勢を示した。

薬価差に関する論点としては、病院・診療所・薬局といった取引先の違いにより生じる薬価差の偏在の改善をあげた。その背景には、医薬分業の進展に伴い、医薬品の販売先が病院・診療所から薬局へと移行するなかで、薬局での乖離率が大きくなる一方、病院と診療所での乖離率が低くなっている状況がある。厚労省は、2022年度の薬価差額全体のうち、薬局分が67%を占める一方、病院は26%、診療所は7%にとどまると示した(下図)。

薬価差額全体のうち、2022年度は薬局分が67%を占める=第10回迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会資料

上智大学の香取照幸委員は、「薬価差の3分の2が薬局で発生し、かつ薬局のほうが、乖離率は高い。薬価差を経営原資と捉え、薬価差を必要悪と捉える議論はもうやめて、根本的なところから議論するほうがよい」と問題提起した。

川原経営総合センターの川原丈貴委員は、病院の売上げの約1割を薬価差が占めるとして、「過度な値下げ交渉には何らかの制約があってしかるべきだが、医療機関、とくに病院の利益水準は考慮に入れて議論を進めるべき」と訴えた。

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