介護文書負担軽減に向け 電子申請・届け出システム使用促進など対応策示す(9月29日)
厚労省は9月29日、社会保障審議会介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」に、文書負担軽減について論点ごとに対応の方向性案を示し、おおむね了承された。
令和4年度下期から運用開始予定の「電子申請・届け出システム」の使用を促進するための対応策などを示した。今回の議論を踏まえ、厚労省は10月27日に取りまとめの議論を行う方針。
同専門員会では、令和元年8月から、介護分野における国、指定権者・保険者、介護サービス事業者間でやり取りされる文書の負担軽減策を検討し、令和元年12月4日に中間とりまとめを行った。
その後は、中間とりまとめで示した◇様式・添付書類や手続きの見直し◇自治体ごとのローカルルールの解消◇ウェブ入力・電子申請―の3つの視点で具体的な方策を検討してきた。
これを踏まえて厚労省は取りまとめに向けて次の5つの論点とその対応の方向性を示した。
指定申請・報酬請求・実地指導関連文書の国が定める標準様式例
簡素化や利便性向上に係る要望を提出できる専用の窓口
電子申請・届け出システム
地域による独自ルール
その他
「1.」の標準様式例については、標準様式がどの程度浸透しているか調査を行った上で、標準化に向けたガイドラインを作成し、周知を行う案を示した。また、標準様式例の使用を原則化するため、所要の法令上の措置を検討することを提案。
「2.」の専用窓口については、受け付ける要望は「介護事業者が介護保険法の関係法令の規定に基づいて地方公共団体に対して行う手続きについて、その簡素化や利便性向上に係る国や地方公共団体に対する要望」とし、受け付けた要望は、全国的に諮るべき内容は同専門委員会で議論する案を示した。また、窓口を「電子申請・届け出システム」の機能として実装するべく検討を進めることを提案した。
「3.」の「電子申請・届け出システム」については、令和4年度下期から運用開始予定で、全自治体を対象とした利用開始時期の意向調査では、8月22日時点(回答率66.1%)で、第1期(令和4年度下期)利用開始意向は32自治体、第2期(令和5年度上期)は73自治体だった。対応の方向性として、厚労省は、伴走支援や早期利用開始の自治体の好事例の横展開やガイドラインの作成を行う案を示した。また、同システムの使用を原則化するべく、法令上の措置の検討を提案した。
「4.」の独自ルールは、地方公共団体ごとの独自ルールの調査を行った上で、その有無や内容を公表する案を示した。
「5.」その他では、事故報告様式や、文書負担を配慮した介護報酬の加算の在り方の検討の必要性に言及している。