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法律で読み解く 再評価率表の変遷 ②

平成6年制度改正の再評価率表から令和5年度の再評価率表まで

大山 均 (おおやま ひとし) /株式会社 社会保険研究所 顧問

前回は、平成12年の年金制度改正における再評価率までをたどりました。
今回は、平成16年から令和4年までの年金制度改正までの変遷をたどり、令和5年度の再評価率に迫ります。
(全2回のうち2回目・1回目はこちら


3.平成16年の年金制度改正における再評価率

前節〔1回目「2.平成12年の年金制度改正における再評価率」参照〕で見たとおり、平成12年の年金制度改正において、それまでは1本であった再評価率が生年度別に5通りの再評価率として設定されることになった。いうまでもないが、この5通りの再評価率は、同じ平成12年の年金制度改正で行われた給付水準の見直しによる給付水準の5%適正化後の年金額を算出する際に用いられるものである。
この給付水準の見直しに対して激変緩和策として講じられた従前の年金額の保障(従前額保障)の年金額を算出する際に用いられる再評価率は、平成6年の年金制度改正で設定された再評価率となる。
この従前額保障の年金額というのは、平成12年の年金制度改正による給付水準の見直し前の水準の年金額であるため、必然的に平成6年の年金制度改正の水準ということになる。したがって、そこで用いられる再評価率も平成6年の年金制度改正時に設定された再評価率ということになるわけである。

なお、本来であれば、この平成12年の年金制度改正は、平成6年の年金制度改正から5年後の平成11年に実施されるはずであったが、国会で法律が成立したのは平成12年になってからであった。そのため、次に予定されていた平成16年の年金制度改正はその4年後に行われることとなった。

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