中川会長、後期高齢者の2割負担「限定的な範囲に」(12月9日)
日本医師会の中川俊男会長は12月9日の会見で、政府・与党で大詰めの議論を迎えている後期高齢者の窓口負担2割への引き上げについて、改めて限定的な範囲にすることを求めた。
中川会長は、「一部の地域では新型コロナの感染者が急増し医療崩壊の危機にさらされているなか、後期高齢者の患者負担割合を1割から倍にする議論をすること自体がそもそも問題だ」と強調した。
政府が検討している課税所得のある年収170万円円以上を対象とする案については、「政府には繰り返し、極力限定的な範囲にしてほしいと申し上げており、なんとか限定的な範囲にとどめていただきたい。議論の山場なので具体的な数字は申し上げられない」と述べた。
一方、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が急増していることについては、「新型コロナの医療体制は重症患者・中等症患者に注力しているが、感染者数自体の増加は重症患者の増加に直結する。感染者の増加でコロナ診療以外の医療提供体制も厳しい状況になっている。医師や看護師などの医療従事者の心身の疲労はピークに達しており、大変困難な事態になっている」と危機感を表明。
その上で、「医療提供体制で最も重要なのは、そこで働く医療従事者である。処遇面や人材確保など早急な国の支援は必要だが、何より一番の支援は感染者を極力増やさないことだ。全国で市中感染が拡大しているなか、誰もが感染している可能性がある。『うつらない』だけではなく、『うつさない』ことが大切であることを忘れないでほしい」と述べ、国民に対して感染予防対策の徹底を呼び掛けた。
北海道旭川市や大阪府に自衛隊が派遣されることについては、「自衛隊に支援をお願いすることは、地域医療を提供する側にとっては最終手段である。そこまで追い詰められている状況だ。自衛隊も余裕があるわけでないので、非常に苦労して派遣していただいていると思う」と述べた。