令和3年度介護報酬改定の 効果検証の調査案了承(3月24日)
社会保障審議会介護給付費分科会は3月24日、介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査について、令和2年度調査の報告と、令和3年度調査案を了承した。
令和3年度介護報酬改定では、科学的介護情報システム「LIFE」 へのデータ提出とフィードバックの活用による PDCA サイクルの推進とケアの質の向上を図るための取り組みや評価が創設された。このLIFE関連の調査について、委員からは期待と要望が多数出た。
2年度調査は、「介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業」など5本が了承された。
3年度改定の審議報告で示された今後の課題については、3年度、4年度、5年度に調査を実施し、令和6年度改定に向けて効果検証及び調査研究を行う。
3年度調査の項目は◇介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業◇LIFE を活用した取組状況の把握および訪問系サービス・居宅介護支援事業所における LIFE の活用可能性の検証に関する調査研究事業◇文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業◇福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業―の4本で、了承された。
LIFEの活用について日本医師会の江澤和彦委員が発言。2年度調査の「介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業」でCHASEのフィードバック票がケアの質の向上に活用できるという回答が2割程度であることを指摘し、「フィードバックの内容は、ケアの質向上に向けて重要な要素。事業所がケアの質向上に利活用できるようなフィードバックの仕方を検討していかなくてはならない」と述べた。
全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員は、LIFEに関する調査について「課題抽出も必要だが、好事例の提示や、用途の拡大・発展性の推察が考えられる。データの活用方法や導入時における課題も山積している」と指摘。一方、「科学的介護の積極的な推進につながるような調査にしてほしい」と期待を述べた。
全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、LIFEの認知機能の評価が「認知症行動障害尺度」と「意欲の評価」である点を指摘。その上で、「認知症の評価をBPSDの評価だけにするのはおかしい。認知機能の評価をLIFEにも入れてもらいたいので、今後検討会をつくって対応してほしい」と要望した。
分科会は、夏ごろに3年度調査票案をまとめ、9月頃に調査を実施する見通しだ。