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介護文書の負担軽減へ標準様式例や電子申請・届出システムの使用原則化(10月25日)

社会保障審議会介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」は10月27日、取りまとめ案を大筋で了承した。

国が示している指定申請などの標準様式例や「電子申請・届出システム」の使用原則化の方向性を打ち出した。同日の意見を踏まえて修文し、介護保険部会に報告する。

専門委員会の取りまとめ案では次の点について方向性を示している。

  1. 指定申請・報酬請求・実地指導関連文書の国が定める標準様式例

  2. 簡素化や利便性向上の要望を提出できる専用の窓口

  3. 「電子申請・届出システム」

  4. 地域による独自ルール

  5. その他の課題

「1.国の定める標準様式例」は、厚労省のホームページで示されているが、地方公共団体の独自様式によって、たとえば押印を求められるケースもある。

厚生労働省ホームページ「指定申請等のウェブ入力・電子申請について

これに対し、地方公共団体向けのガイドラインの作成を求めた。国が示している標準様式例の使用を基本原則化するための取り組みでは、介護保険法施行規則と告示に標準様式について明記するなどの所要の法令上の措置を行い、施行時期は令和6年度の介護報酬改定とあわせて行うことを提案した。

2.専用の窓口」については、今年9月29日に厚労省のホームページに設置された。要望内容は全国的に対応が必要なものは同専門委員会で議論し、個別の地方公共団体に対応が必要なものは厚労省から地方公共団体に助言を行うことを求めた。

厚生労働省ホームページ「介護分野の行政手続に関する簡素化・利便性向上に係る要望受付フォーム

3.電子申請・届出システム」は今年度下期から運用を開始する。これまで指定申請等の提出方法は持参・郵送・電子メールなどが示されていたが、地方公共団体によっては電子メールの提出を受け付けないケースもある。

対応としては、◇「電子申請・届出システム」利用のために必要な業務見直しを含む準備のための手引きや操作手順書の作成を行うなど運用開始へ向けた支援を行う◇早期利用開始の地方公共団体への支援として伴走支援を行い、好事例の横展開等を行うことにより早期利用開始の地方公共団体数の拡大へ向けた取組を行う◇地方公共団体に対して定期的に「利用開始時期の意向調査」を実施し、調査結果は公表する◇「電子申請・届出システム」の使用を基本原則化とするために、介護保険法施行規則に、「電子申請・届出システム」について明記すること等の所要の法令上の措置を行う―との方向性を示した。

法令上の措置の施行時期が書かれていないため、委員から明記を求める声があがった。厚労省は6月に閣議決定された規制改革会議で「令和7年度措置」とされていることを説明し、取りまとめに明記される見通し。

4.地域の独自ルール」に対しては、老人保健健康増進等事業による調査を行い、地方公共団体における独自ルールの有無・内容の公表を行うことを求めた。

また「5.その他の課題」として、今回は特に指定申請・報酬請求・指導監査の文書の負担軽減を検討対象としてきたが、処遇改善加算を含む加算項目の創設により提出書類が増加していることや、アナログでの対応が多いケアプラン作成の事務負担について検討すべきである旨を指摘した。

同日の専門委員会では、日本医師会や全国老人保健施設協会の代表から、介護職など現場における負担軽減を求める声があがった。  

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