見出し画像

病床数の合計は見込みを達成 令和4年度病床機能報告(2023年5月25日)

厚労省は5月25日の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)に、令和4年度病床機能報告の結果を報告した。

各医療機関が病棟単位で報告する病床機能報告による病床数の合計は119.9万床で約120万床だった(上図)。「2025年7月1日時点における病床の機能として予定」する病床数の合計は119.0万床で、さらに1千床減少する。

一方、2016年時点のデータで推計した2025年の医療需要に見合う病床の必要量は119.11万床であり、病床数全体では、推計における需要に見合った病床数よりも、1千床少ない規模に収まったという結果になる。

2016年当時の病床数は133万床程度であり、医療機能の分化が行わずに、高齢化要因を織り込んだ場合に、152万床程度まで増えると推計されていた。

当時の議論では、30万床程度を減らす方策として、医療機能の分化や、医療から介護への移行の効果として、一般病床の医療資源投入量の低い患者の一定数と療養病床の医療区分1の患者が減少することや、療養病床の地域差縮減が行われることが考えられた。

その後、地域医療構想の推進や診療報酬改定、介護医療院の創設などの対応が講じられた。どの対応が病床の減少に直接結びついたかを明確に説明することは難しいが、結果として、病床数全体としては、目指す姿が達成されたことになる。人口減少により医療需要が減り、病院の独自の判断でダウンサイジングなどが行われた事例もあると考えられる。

ただ、医療機能の割合は、病床の必要量と一致しない。特に、急性期は2022年が45%であるのに対し、病床の必要量では34%、回復期は2022年が17%であるのに対し、病床の必要量では31%だ。

全日病の織田正道委員は、「152万床まで膨らむとされていたことを考えれば、地域医療構想はうまくいっている。急性期が多く、回復期が少ないということは今でも散々言われているが、急性期に回復期の機能が含まれていることを考慮すれば、実際は回復期が足りないということはない」と述べた。

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。