「地域枠」離脱して専門研修始めた医師には専門医認定行わない方針(7月17日)
厚生労働省の医道審議会医師分科会の医師専門研修部会は7月17日、大学医学部への入学時点で「地域枠」を利用した医師が、地域枠の医師に課せられた特定地域への従事要件を満たさずに専門研修を開始したとき、原則として日本専門医機構の専門医認定を行わない方針で合意した。
大学が特定の地域や診療科で診療を行うことを条件として選抜し、都道府県がその学生に奨学金を貸与する地域枠の仕組みでは、都道府県が指定する区域で一定の年限、医療に従事することで奨学金の返還が免除される。
専門研修制度の採用プロセスにおいては、地域枠で医学部に入学し、特定の地域への従事要件があるかどうかを応募時点で医師が自己申告することになっているが、十分に機能していなかった。
そこで今後は、都道府県の同意を得ずに、地域枠の従事要件を離脱して専門研修を開始した専攻医については、原則として機構の専門医認定を行わない方向で合意した。
厚労省は具体的な対応策として、専門研修システム登録時に本人の同意を得た上で、機構が都道府県に地域枠離脱に関する都道府県の同意があるかどうかについて確認することを提案。
もし専門研修を開始後に、地域枠離脱について都道府県の同意を得ていないことが判明した場合には、専門研修中に従事要件を満たせるように、プログラム統括責任者が適切な指導と配慮を行うべきとした。
厚労省は、今後、都道府県の意見を聞いた上で、機構に意見する見通し。
委員からは、「地域枠は地域医療のために守らなければいけない制度だ。約束違反は厳しく取り締まるべき」と厚労省の提案に賛同する声が上がった。他方で、「都道府県が不同意として専門医資格がとれなくなるのは大変なこと。都道府県が地域枠離脱に不同意とする判断基準も決めるべき」との意見もあった。