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オンライン診療と不妊治療の保険適用「検証と合意形成が必要」(9月17日)

日本医師会の中川俊男会長は9月17日の会見で、16日に発足した菅政権について見解を示した。菅義偉首相が就任会見で表明した「オンライン診療の継続」と「不妊治療の保険適用の実現」については、検証と合意形成を踏まえて進める必要であるとの認識を明らかにした。

菅首相について、「日医は安倍内閣で7年8か月にわたって官房長官を務めた手堅い政権運営を期待している」と述べた。総裁選の討論会で菅氏が目指す社会像として自助・共助・公助を掲げたことに触れ、「我が国の社会保障は自助・共助・公助で成り立っている。日医もこれらのバランスをしっかりとりながら、国民皆保険を守っていく」と述べた。

厚生労働大臣に就任した田村憲久氏については、「第二次安倍内閣発足時に厚生労働大臣を務め、地域医療・介護総合確保基金の創設など多くの分野で尽力された。退任後も深く厚生労働行政に関わり、日医とも多くの意見交換をさせてもらった関係だ。社会保障政策に造詣が深く、医療・介護の抱える問題を幅広く理解しており、喫緊の課題である新型コロナ対策に手腕を十分発揮していただけると期待している」と述べた。

一方、記者からの質問で、菅首相が就任会見で「ようやく解禁されたオンライン診療は今後も続けていく必要がある」「出産を希望する世帯を広く支援し、ハードルを少しでも下げていくために、不妊治療の保険適用を実現する」と発言したことに回答。

オンライン診療の継続について中川会長は、「医療のデジタル化やICT化を進めることは大賛成だ」と述べた上で、現在は新型コロナ禍における時限的・特例的措置で今後の検証が必要であることを指摘し、「拙速に一律にオンライン診療を進めるのではなく、一つひとつ丁寧に議論し、合意形成してほしい」と理解を求めた。

不妊治療の保険適用については、「菅首相の発言は、重い費用負担に悩んでいた当事者にとっては朗報であり、少子化対策に対する思いは非常に素晴らしい。しかし、不妊治療の有効性や安全性、対象年齢などいろいろなルールを整備しなければならない。一気に保険適用というのではなく、こちらも専門家による検証や審議会における議論と合意形成をしながら進めてほしい」と述べた。

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