公的年金と私的年金の一体的な広報などについて検討――年金部会、企業年金・個人年金部会合同開催
厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事・法学学術院教授)と企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は12月11日、初の合同開催を実施し、年金広報や年金教育などについて意見交換を行った。社会保障審議会運営規則では、2つ以上の部会を合同して開催できる旨が記載されており、今回は初めて年金部会と企業年金・個人年金部会が合同開催された。この日は、公的年金制度と私的年金制度の基本的な役割や機能等に対する正しい理解を促すために行う広報・教育のあり方のほか、公的年金と私的年金の一体的な広報・教育のあり方、今後の「見える化」の取り組みの進め方などについて議論した。
厚労省は、これまで年金広報検討会(座長=上田憲一郎・帝京大学経済学部経営学科教授)などで検討されてきた事項や、年金教育に使用するために制作してきた教材や動画といった各種コンテンツ、適用拡大特設サイトなどによる周知の取り組み、公的年金シミュレーター等について紹介。また、日本年金機構のねんきんネットやGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による広報、iDeCoや確定給付企業年金の見える化の状況などについて報告した。厚労省は、各団体におけるこれまでの取り組みは公的年金、私的年金それぞれで一定の成果があるとしながらも、量的な拡大や一体的な広報が課題だとの認識を示している。
委員からは、公的年金と私的年金の役割を明確にしたうえで広報などについて議論することが重要だとする指摘が相次いだ。また、年金教育については、年金に関して理解できる人や知ろうとする意欲のある人がより知識を身につけることができ、充実した生活に結びつけられる可能性が高いのに対し、そうでない人はそうした機会を失いがちになることから、格差が拡大する点を危惧する意見も出された。これまでの年金教育や広報の取り組みの中では、年金制度で得をするということを重視しすぎている点を疑問視する意見もあった。