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国年保険料の令和5年度最終納付率は83.1%で過去最高――第74回年金事業管理部会

厚生労働省の社会保障審議会年金事業管理部会(部会長=松山遙・弁護士)は6月27日、前回に引き続き第3期中期計画及び令和5年度計画における業務実績報告書案について審議し、了承した。業務実績報告書案では、前回委員から出された意見を反映したほか、令和5年度の国民年金保険料納付率が同日付で公表されたことを受けて最新の数字を加えた。

公的年金の保険料は、過去2年分の未納分をさかのぼって納付できるため、2年分を集計した最終納付率などが毎年取りまとめられる。令和5年度における国民年金保険料の最終納付率は83.1%となり、前年度より2.4ポイント上昇。平成24年度の最終納付率(日本年金機構が発足した平成22年度分の保険料)64.5%から18.5ポイント上昇し、11年連続で上昇しているほか、統計を取り始めた平成16年度の最終納付率以降、過去最高となった。令和5年度分の現年度納付率は、77.6%で前年度より1.6ポイント上昇し、平成23年度分の現年度納付率から12年連続で上昇している。

機構は、口座振替やクレジットカード、コンビニ納付の促進、スマホアプリ決済サービスでの納付の導入等による納めやすい環境づくりに取り組んだほか、年齢・所得・未納月数など未納者の属性に応じて納付書、催告状等を送付。納付督励や免除等勧奨業務を受託する事業者との連携も強化した。また、他の都道府県に比べ納付率が低い沖縄県では、電話や戸別訪問などを効果的に実施する「沖縄プロジェクト」により、最終納付率(令和3年度分保険料)は80.4%となり、平成24年度の最終納付率(平成22年度分保険料)の44.4%から36.0ポイント増となった。

委員からは口座振替よりもクレジットカードによる納付のほうが高い手数料となり、機構における経費が上昇するが、利用者にとってはポイントの付与があるため前納制度を利用するよりも得になるケースがあることから、クレジットカードによる納付への切り替えが増えている点が指摘され、「納付しやすい環境を整えるのはいいが、手数料を下げてポイントの付与を行わないようカード会社に働きかけるなど経費が掛からない方向性を検討してはどうか」という提案があった。また、中学校や高校を卒業後に厚生年金に加入したが、その後仕事を辞めて国民年金に加入した若年者の分析を行ったうえで、若年者のターゲティングについて考えてほしいという意見があった。

業務実績報告書は厚生労働大臣に提出された後に、厚生労働大臣が業務実績評価を行うことになっている。そのため、次回の部会では業務実績評価案について議論する予定だ。

令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況について


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