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日医の中川会長が「骨太方針2021」で見解(6月23日)

日本医師会の中川俊男会長は6月23日の会見で、18日に閣議決定された「骨太方針2021」についての見解を表明した。骨太方針に記載された新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、医療費適正化計画や包括払いなど6点について考えを明らかにしている。

1点目の新型コロナ対応については「コロナ患者を受け入れる医療機関への支援が記されているが、病院の減収分はぜひ速やかに補填してほしい。診療報酬のみならず補助金も活用して柔軟な対応をお願いしたい。あわせて、後方支援医療機関も含めて地域一体で面として支えている医療機関への支援も不可欠で、支援対象はできるだけ広くとらえてほしい」と述べた。公立・公的、民間病院の病床を都道府県の要請で活用できる仕組みの構築については「公民にかかわらず地域の実情に応じて対応することが重要だ」と述べた。  

2点目は経済安全保障の確保等の項目において、「重要業種として電力、ガス、石油、航空、鉄道、海上物流と並んで今回新たに医療が位置付けられたことを評価したい。なかでも医薬品はサプライチェーン強靭化の重点項目とされた。日医としても必要な協力をしていきたい」と述べた。

3点目の医療費適正化計画については、「都道府県の役割や責務を明確化する方向だが、次の第4期医療費適正化計画は2024年度からスタートする。骨太ではそれに間に合うように必要な法制上の措置を講ずるとしてるが、都道府県や医療関係者は新型コロナへの対応に心血を注いでいる。第4期計画への法整備を優先するのではなく、コロナ対策で得られた実態や知見を踏まえてしっかり議論して策定するべきだ」と述べた。

4点目の医療資源の集約化については、「骨太では病院機能や医療専門職人材の集約化を求めている。病院機能は地域医療構想の下で機能分化と連携を進めている。また、医師の集約化は医師の働き方改革に寄与する面もあると考えられる。ただし、医療資源を多く必要とする専門的医療は広域的に拠点となる基幹病院で集約することが有効である一方、日常的で頻度の高い医療ニーズに対応する診療は地域の身近な医療機関で確保するなど地域の実情を踏まえたきめ細かい対応が必要だ。地域医療における機能分化と連携のバランスを配慮して進めていくべきだ」と述べた。

病院機能の連携強化・集約にむけて、地域医療連携推進法人制度の活用の提案については、「国は制度を見直す計画だが、国や都道府県主導のM&Aの推進や病院経営の株式会社の参入につながる恐れもあるのではないかと懸念している。今後、日医からもあるべき姿を発信しつつ、動向を注視していきたい」と述べた。  

5点目の包括払いについては「日本のDPC制度は20年度以上にわたって精緻化が行われ、世界でも類を見ない制度となっている。入院医療の包括払い制度は今後、ていねいで慎重な議論を行っていくべきだ」と述べた。

6点目のかかりつけ医機能の強化・普及について「日医はかかりつけ医は患者が選ぶもので、国民皆保険の柱であるフリーアクセスを担保する必要があると考える。医療費抑制のためにフリーアクセスを制限する制度化ではなく、国民に社会保障や健康に関する教育啓発を行って意識改革を促し、骨太方針に記載されているとおり『上手な医療のかかり方』を広め、かかりつけ医を普及していくことが重要だ」と述べた。

一方、同会見で長島公之常任理事は、骨太方針2021におけるデータヘルス改革関連について見解を示した。

オンライン資格確認については「今年3月末をもって『加速化プラン』による追加導入支援策が終了したことで新規導入が停滞している状況にあるが、新たな支援策の導入などさらなる普及促進を実施する必要がある」と述べた。

医療機関等における情報共有・連携と電子カルテについては「まずは情報交換のための標準規格を整備し、メーカーに確実に実装させることで、相互運用性の問題解決を図る。その上で、電子カルテの規格そのものの統一化に向けた検討も行うべき」と述べた。

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