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教育訓練休暇制度は9割の企業が未導入―令和7年10月までの整備が急務

厚生労働省が6月28日に公表した令和5年度能力開発基本調査の企業調査によると、9割以上(91.8%)の企業が「教育訓練休暇制度」を導入していないと回答したことがわかった。「導入する予定もない」とする企業が81.9%と大半を占めている。

令和7年10月から雇用保険に教育訓練休暇給付金が創設

令和6年の通常国会で成立した雇用保険法等の一部を改正する法律により、令和7年10月1日から創設される「教育訓練休暇給付金」は、教育訓練を受けるために長期休暇(無給)を利用した被保険者を対象として、期間中に基本手当に相当する給付を行う制度。

出所:厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料より

被保険者の自発的なリスキリング(教育訓練受講)を促す同給付金の円滑な施行には、企業等の教育訓練休暇制度の整備が欠かせないが、令和5年10月時点では、大半の企業が導入していない現状が明らかとされた。

導入企業も7割以上が制度見直しが必要に

調査によると、教育訓練休暇制度を導入している企業は8.0%だった。だが、その7割以上(72.0%)は、長期休暇(30日以上連続の休暇)は取得できないと回答しており、教育訓練休暇給付金の趣旨を踏まえれば、導入している企業についても長期休暇が取得できるような制度の見直しが必要となる。

教育訓練休暇制度等の導入を予定していない理由を見ていくと、「代替要員の確保が困難」が最も多くを占めた。以下、「制度自体を知らなかった」「労働者からの制度導入の要望がない」「制度導入のメリットを感じない」などの理由が続いた。

調査は、常用労働者30人以上を雇用している7,318企業を対象に令和5年10月1日時点の状況について実施。有効回答率は56.3%だった。


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