厚労省が身寄りのない人の入院等GLで市町村セミナー(7月17日)
厚労省は7月17日、「身寄りのない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」などをテーマに市町村セミナーを開催した。ガイドラインは平成29年度及び30年度の厚労省の補助金による調査研究で策定されたもので、研究代表者の山縣然太朗・山梨大大学院教授などが講演した。
山縣教授はガイドラインのポイントとして、①判断能力の程度や家族関係にかかわらず本人の意思・意向を確認し尊重する原則②家族(身元保証・身元引受等を担う人)がいない人への具体的な対応の明記③成年後見人等に期待される具体的な役割の明記─の3つをあげた。
このうち①本人の意思・意向の尊重では、医療行為の同意は本人の一身専属性がきわめて高く、家族など第三者に同意の権限はないものと考えられることをガイドラインに明記したことを説明した。
また②家族がいない人への具体的な対応では、◇本人の判断能力が十分な場合◇不十分で成年後見制度を利用している場合◇不十分で成年後見制度を利用していない場合-に分けて具体的な対応を示したことを紹介した。
③成年後見人等に期待される具体的な役割については、医療現場での行為を整理し、契約の締結等や本人の意思の尊重、身上保護(適切な医療サービスの確保)、その他(親族への連絡・調整)などとしたことを示した。
最後に山縣教授は、「今後は本ガイドラインを基に、各医療機関任せにするのではなく、自治体が中心となって、身寄りがなくても安心して必要な医療を受けられる環境が整うよう地域連携を深めていくことが望まれる」と述べた。