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生活が「苦しい」と答える世帯が増加――2023年国民生活基礎調査

厚生労働省は7月5日、2023年国民生活基礎調査の結果を公表した。この調査は、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画、立案に必要な基礎資料を得ることを目的に実施している。
 
世帯の状況を見ると、単独世帯は1,849万5,000世帯で、全世帯の34.0%を占め、世帯数、割合とも1986年の統計開始以来過去最高となった。厚労省は、高齢化が進んでいるほか未婚率の上昇により、世帯が小規模化していることが要因としている。一方、児童のいる世帯は983万5,000世帯で、全世帯の18.1%となり、少子化が進んでいることにより世帯数、割合とも統計開始以来過去最少となった。
 
2022(令和4)年の1世帯当たり平均所得金額は、「全世帯」が524万2,000円となった。また、65歳以上の人で構成されているか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わっている「高齢者世帯」が304万9,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が651万1,000円、「児童のいる世帯」が812万6,000円となった。
各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額の構成割合は、全世帯では「稼働所得」が72.9%、「公的年金・恩給」が20.9%だが、高齢者世帯では「公的年金・恩給」が62.9%、「稼働所得」が26.1%となっている。
また、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は41.7%となり、「80~100%未満の世帯」の17.9%と合わせると59.6%となった。100%の世帯は近年減少傾向にあり、厚労省は65歳以上の就業率が上がっていることが原因としている。

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

生活意識別に世帯数の構成割合を見ると、「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」が59.6%となり、苦しいと感じている世帯の割合が昨年よりも8.3ポイント上昇して過去6番目の高さとなった。また、高齢者世帯では59.0%で昨年比10.7ポイント、児童のいる世帯では65.0%で昨年比10.3ポイント上昇。厚労省は物価の高騰が影響していると見ている。

各種世帯の生活意識


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