電子申請の対象届書拡大等オンラインサービスの機能拡充へ――第71回社会保障審議会年金事業管理部会
厚生労働省の社会保障審議会年金事業管理部会(部会長=増田寛也・日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)は1月12日、日本年金機構の第4期中期目標、第4期中期計画、令和6年度計画について審議した。日本年金機構法では、日本年金機構が達成すべき業務運営に関する目標を厚生労働大臣が3~5年おきに定め、この中期目標に基づいて日本年金機構が中期計画と年度計画を策定することが規定されている。第3期中期目標期間が令和6年3月31日までとなるため、令和6年4月からの第4期中期目標を定める必要がある。厚労省は、第4期中期目標の重点目標案として、国民年金保険料納付率の更なる向上への取組や、被用者保険の適用拡大への実効性ある取組などを示した。
第4期中期計画案と令和6年度計画案では、平成31年4月~令和6年3月の第3期中期計画で策定されたオンラインビジネスモデルや、働き方改革、女性活躍などの取組を推進したことから、第4期中期計画でもこれらの取組を一層進展させる方向性を示した。
国民年金保険料の納付率については、現年度納付率80%台前半、最終納付率80%台後半を目指すほか、今後外国人の増加が見込まれることから、市区町村、出入国在留管理庁等と連携し、未納を防ぐための効果的な収納対策を実施する。保険料徴収対策としては、未納者属性(年齢、所得、未納月数等)のデータ分析により、地域特性等を考慮した対策を講じるとともに、催告状等送付に係る事務処理の効率化に資する施策を実施する予定だ。
厚生年金については、未適用事業所の着実な減少を目指すとともに、令和6年10月に実施される51人以上の適用拡大の施行後、新たに短時間労働者の適用拡大の対象となった事業所への調査を実施するとしている。
現在、扶養親族等申告書や国民年金関連の簡易な手続きについては、オンライン上で電子申請を行うことができるが、これらの対象届書を拡大し、老齢年金請求書や年金受取機関変更届などについても届出を可能とする予定だ。厚生年金についても事業所向け電子申請サービスの機能拡充と利用拡大を図っていくとしている。
委員からは、「前回の中期目標から社会がどう変化したのか記載したうえで今期の目標や計画を策定してはどうか」といった提案があったほか、機構におけるデジタル化が適切かどうか検証するプロセスを設けるよう要請する意見や、「電子申請などのオンラインやデジタルサービスの利用に誘導する計画を策定してはどうか」などの意見が出された。