2040年頃を見据えた救急医療提供体制の議論をスタート(4月28日)
厚労省の救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ(遠藤久夫座長)は4月28日、第8次医療計画策定に向けた救急医療の議論をスタートさせた。
高齢者救急の増加など2040年頃の人口動態などを踏まえた課題を見据え、第三次・第二次救急医療機関の果たす役割を考え、地域の救急医療提供体制の見直しにつなげる。新型コロナの経験も踏まえ、重症者に対応できる医師・看護師などの医療人材の育成も課題となった。
これから2040年にかけては、若年者(生産年齢人口)が減少し、高齢者が増加していく。超高齢社会は多死社会でもあり、ピークでは年間約170万人もの死亡がみこまれる。医療機関への入院では、脳梗塞・肺炎・心不全・骨折などが増加すると予測され、認知症有病者も増加する。また、65歳以上の退院患者のうち、介護施設などや他の医療施設へ退院する患者の増加が見込まれる。
これらの変化に対応した救急医療提供体制が求められる。特に、軽症・中等症の高齢者の救急搬送が急増することへの対応が急務だ。救命救急センターなど三次救急の医療機関が現状のように軽症患者を診療し続けると、受入れ能力を超えてしまい、重症患者の診療に支障をきたす恐れがある。これを防ぐには、二次救急の医療機関の体制を強化する必要があるとの意見がワーキンググループでは相次いだ。