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#11 ウワサの64歳11か月で退職すると有利?

65歳前に会社を退職して再就職活動を行う場合、一定要件を満たしていれば「雇用保険の基本手当(失業給付)」を受給することができます。
基本手当は失業後の生活を支える大切な収入ですが、特別支給の老齢厚生年金や、繰上げした老齢厚生年金とは同時に受け取れないことをご説明すると、驚かれる人がいらっしゃいます。
今回は、雇用保険の基本手当(失業給付)と老齢年金についてご説明しましょう。


基本手当とは

基本手当は、働く意思と能力がある人で、一定の受給条件を満たしている場合に受給することができます。
離職理由によって、次の①と②に分かれます。

①一般の離職者
正当な理由がなく自己都合退職した人を「一般の離職者」といい、離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あれば、受給することができます。
定年退職者や自己都合退職者は、一般の離職者になります。

②特定受給資格者・特定理由離職者
特定受給資格者は、倒産や解雇、リストラなどの会社都合で退職した人が該当します。
一方、特定理由離職者は、自己都合で退職した人のうち、正当な理由のある人が該当します。
たとえば、体力不足・心身障害、妊娠・出産等で受給期間延長措置を受けた、転勤などで通勤が不可能になり離職したなどの人が該当します。
特定受給資格者と特定理由離職者は、一般の離職者より受給条件が緩和され、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば、受給することができます。

給付制限期間

ハローワークで基本手当受給の手続きを行った後、7日間はすべての人が基本手当を受け取ることができません。これは失業状態を確認するためで、「待期期間」といいます。
一般の離職者(定年退職者は除く)は、基本手当が受け取れるまでに、さらに原則2か月間の給付制限期間があります。
自分が特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、離職票-2に書かれた離職理由と、会社と離職者双方の主張が確認できる資料(就業規則や医師の診断書等)をもとにハローワークが行います。
特定受給資格者と特定理由離職者の判断基準は、厚生労働省のホームページで確認することができます。

基本手当の所定給付日数

所定給付日数とは、基本手当を受け取れる日数のことで、次の3区分に分かれています。

① 一般の離職者(定年退職・自己都合退職等)
退職時の年齢に関係なく、雇用保険の加入期間により90日分~150日分受け取ることができます。

② 特定受給資格者・特定理由離職者 
退職時の年齢と雇用保険の加入期間に応じて、90日分~330日分と定まっており、一般の離職者よりも所定給付日数が長くなります。

③ 障害者などの就職困難者
障害者などの就職困難者の場合、退職時の年齢が45歳未満の人は、加入期間に応じて150日分~300日分、45歳以上65歳未満の人は150日分~360日分になります。

基本手当の額

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