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政府がアセットオーナー・プリンシプル策定ー「受け入れ表明」リスト公表へ

政府は8月28日、年金基金などのアセットオーナー(機関投資家)の運用力強化を目的とした「アセットオーナー・プリンシプル」を策定した。これは、2024年3月の「新しい資本主義実現会議 資産運用立国分科会」の下に、「アセットオーナー・プリンシプルに関する作業部会」が設置され、同年3月から計4回にわたる議論等を踏まえ、策定されたもの。

背景には、 「成長と分配の好循環」を実現していくには、家計の資金が成長投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費につながる、という資金の好循環を生み出していくことが重要であるとの政府の認識がある。たとえば、確定給付型企業年金(DB)の場合、運用結果が目論見を下回った場合、不足分を企業が補填しなくてはならないため、運用状況についての受益者への開示などが求められてきた。
今回策定された原則も受益者等の最善の利益を勘案し、運用目的を定め、必要に応じて外部の人材も活用すべきとしている。

原則の受け入れを表明したアセットオーナーはリストにして公表するが、さまざまなアセットオーナーがいるため、共通の原則を定め、それに対して受入れを求める、原則主義(いわゆる「プリンシプルベース・アプローチ」)を採用している。受け入れた場合も、法的な拘束力はなく、企業には「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明)を求めていく。

アセットオーナーとしての行動規範である5つの原則では、受益者等の最善の利益を勘案して、その資産を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)をはたしていくための姿勢をまとめている。

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