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オンライン診療「混乱させたら期中でも要件見直しを」日医中川会長(2月10日)

日本医師会の中川俊男会長は2月10日の会見で、令和4年度診療報酬改定におけるオンライン診療の評価について見解を表明した。

地域医療を混乱させた場合には、期中であっても診療報酬要件の見直しを求める意向を示した。

オンライン診療の初診料については現行の215点から251点に引き上げられ、対面診療の初診料288点の9割弱となった。

中川会長は日医のオンライン診療のスタンスとして対面診療を補完するものとの認識を改めて表明した上で、中医協の公益裁定について「オンライン診療では対面診療と比較して触診・打診・聴診等が実施できないことが明示され、対面診療との対価に差を設けることが適当だとされた」と評価した。

診療報酬の水準については「結果的にオンライン診療の報酬が引き上げられたが、中医協で引き続き調査・検証していくこととなっている。日医としてもより適切な水準を追求していく」と述べた。

「対面診療を提供できる体制を有する」などが診療報酬の要件になったことに触れ、「オンライン診療が対面診療と適切に組み合わせた上で実施されるよう注視していく。患者の安心安全が損なわれたり、地域医療を混乱させる事象が生じた場合は期中であっても速やかに要件の見直しを要請する」と述べた。

日医の対応としては医師がより安心してオンライン診療を利用できるように「オンライン診療導入の手引き」を作成中であるとし、運用上のセキュリティ対策のサポートを予定していることを明かした。

その上で、オンライン診療に対する日医のスタンスとして「営利追求の市場になることを認めず、心あるかかりつけ医の先生の診療の助けになる必要な軌道修正も見据えつつ育てていきたい」と述べた。

リフィル処方箋「慎重の上にも慎重に始めることが望ましい」

同会見では、リフィル処方箋の診療報酬改定の評価についても見解を示した。

日医として医薬品の不適切な長期処方を是正すべきだと主張してきたことを表明。リフィル処方箋については「財政当局の医療費抑制の狙いもあり、過去10年近くにわたって骨太の方針などで導入が求められてきた」と説明した。

今回の導入について「厚労大臣と財務大臣の両大臣合意で決まったが、『医師の処方により行う』と明示されている。リフィル処方箋は療養担当規則で日数制限のある医薬品は対象外とされ、総使用回数の上限は3回である。患者にとって適切な治療が行われることに十分配慮した運用が現場で行われることを期待している」と述べた。

その上で、「現行制度では投薬日数は医師の裁量とされ、特定の医薬品を除いて制限はない。ただ、長期処方にはリスクがあり不適切な長期処方は是正が必要であるため、日数制限がなくても医師は無制限には処方を行わないのが現実である。しかし、リフィル処方箋という新たな仕組みができることで、医師や患者の対応がこれまでと異なる可能性がある。新しい仕組みを導入する際には、患者の健康に大きく影響することになるので、慎重の上にも慎重に始めることが望ましい」と述べた。

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