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2023年12月の記事一覧

多床室月8,000円相当一部老健・介護医療院に室料導入へ、居住費は日60円引き上げに――第237回介護給付費分科会(2023年12月27日)

厚生労働省は12月27日、第237回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。 令和6年度介護報酬改定の改定率のほか、介護報酬改定審議報告において「予算編成過程において検討する」としていた、「多床室の室料負担」および「基準費用額(居住費)」の見直しについて報告した。 改定率は+1.59%に、3年目の処遇改善は8年度予算時検討12月20日の予算大臣折衝を経て決定した、令和6年度の介護報酬改定率は、+1.59%。 その内訳は、介護職員の処遇改善分が+0.98%(令和6年6月

所得420万円以上は保険料乗率増へ、2割負担の範囲見直しは2026年度までに結論――第110回介護保険部会(2023年12月22日)

厚生労働省は12月22日、第110回社会保障審議会介護保険部会を開催。 給付と負担に関する内容や今後の介護保険法施行規則改正等について、報告が行われた。 保険料設定の多段階化、乗率0.285~2.4の13段階に給付と負担に関しては、「1号保険料負担のあり方」と「一定以上所得の判断基準」について報告が行われた。 「1号保険料負担のあり方」は、介護保険制度の持続可能性を確保する観点から、1号被保険者間での所得再配分機能を強化するもの。 国の定める標準段階を9段階から13段

健保連が診療報酬改定と介護報酬改定でコメント「高い水準で遺憾」(2023年12月22日)

健保連は12月22日、令和6年度診療報酬改定と介護報酬改定についてコメントを発表した。【社会保険旬報編集部】 20日に決定された診療報酬本体+0.88%(薬価等▲1.00%)、介護報酬+1.59%という改定率について、「近年としては高い水準であり、誠に遺憾である」との見解を示した。 一方、「改定財源の大宗を賃金が相対的に低い職種の処遇改善に充当することや、医療における入院時食費負担額の引き上げは、賃金・物価の動向を踏まえた対応であり、社会保障審議会医療保険部会・医療部会等

公費医療・難病医療の実務情報を詳しく解説! 『公費医療・難病医療ガイド』

「令和5年10月・令和6年4月改正対応版」の一部を公開平成27(2015)年からスタートした新しい難病対策の医療(難病法の医療、児童福祉法の小児慢性特定疾病医療支援)と軌を一にして発刊された書籍『公費医療・難病医療ガイド』(発行:社会保険研究所)は、好評のうちに版を重ね、対象疾病の拡大や制度の見直しに対応してきました。本書は、公費負担医療を担当する医療機関・薬局・訪問看護ステーションや、制度を実施運営する自治体をはじめ、審査支払機関、医療保険者、MSWやケアマネジャー等の専門

65歳以上の新型コロナワクチン定期接種、標準の費用負担は7,000円(2023年12月22日)

厚労省は12月22日、来年度の新型コロナワクチン定期接種における費用負担について、7,000円を標準とすることを公表した。 令和5年度まで、新型コロナワクチンは「特例臨時接種」として全額国費で実施しているが、令和6年度以降の65歳以上高齢者等を対象とする定期接種化に際して、被接種者に費用負担が生じる。 自治体ではすでに予算編成作業に入っているが、来年4月から流通する新型コロナワクチンの価格について「蓋然性の高い数値を示すのが難しい」(厚労省)状況にある。そこで通常のインフル

2026年度からこども・子育て支援金制度を開始(2023年12月11日)

政府は11日のこども未来戦略会議に、「こども未来戦略」案を提示した。少子化対策の「加速化プラン」の安定財源確保に向けた「こども・子育て支援金制度」(支援金制度)は、2026(令和8)年度から開始する。年内に閣議決定する見通しだ。支援金制度の導入や全世代型社会保障制度改革推進の基本的考え方などを盛り込んだ法案を来年の通常国会に提出する方針。【社会保険旬報編集部】 「加速化プラン」の予算規模は3.6兆円程度。財源確保策として同プランが完了する2028年度までに、①既定予算の最大

令和6年度診療報酬改定が決定、本体改定率はプラス0.88%に(2023年12月20日)

武見敬三厚労大臣と鈴木俊一財務大臣は12月20日、令和6年度予算案について大臣折衝を行い、診療報酬改定の改定率などで合意した。【社会保険旬報編集部】 令和6年度改定の本体改定率はプラス0.88%(国費800億円)で、令和4年度改定のプラス0.43%を上回った。プラス0.88%のうち、医療関係職種の処遇改善のための特例対応でプラス0.61%、入院時の食費基準額の引上げにプラス0.06%を使う。 さらに、「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等」による効率化.適正化

支払基金がマイナカード利用促進や電子処方箋の機能拡充で収支予算を変更(2023年12月20日)

社会保険診療報酬支払基金の三好圭理事長特任補佐(写真)は12月20日の会見で、マイナンバーカードの利用促進や電子処方箋の機能拡充に向けた対応を図るため、事業計画や収入支出予算について変更することを発表した。マイナンバーカードの利用促進では259.1億円、電子処方箋の機能拡充では76.3億円を増額する。 マイナンバーカードの利用促進に向けた対応では、先般成立した令和5年度補正予算に基づき、 マイナンバーカードの健康保険証利用の積極的な利用促進の取組に係る医療機関・薬局への支

高齢者救急を受け入れる新たな入院料を提案 中医協総会(2023年12月15日)

厚生労働省は15日の中医協総会に、高齢者の救急患者等に対応する入院医療について、「必要な人員体制等により救急患者等を受け入れる体制を整え、リハビリ、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担うことを評価すること」を論点として提示した。【社会保険旬報編集部】 これまでの議論では、軽症・中等症であっても高齢者の救急搬送を看護配置が13対1の地域包括ケア病棟等での受入れることは難しいとの主張がある一方で、7対1の急性期一般入院料1以外の病棟で、高齢者救急への対応や高齢者の

【玉置妙憂:超高齢多死時代のケアを考える#2】「終末期難民」の時代

ご機嫌いかがですか。いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。 今年も、なんと、もう年の瀬!慌ただしさに目が回りそうです。 なかなかお休みも取れないことと思いますが、どうぞご自愛くださいね。 さて、今日は、『終末期難民』というお話をいたしましょう。 時は流れ、『がん難民』から『終末期難民』の時代へたしか2000年頃だったと記憶していますが『がん難民』という言葉をあちこちでしきりと見聞きするようになりました。 個人的にはあまり好きな表現ではありませんでしたが、治療ができな

病床転換助成事業の2年間延長を了承 医療保険部会(2023年12月14日)

社会保障審議会医療保険部会は14日、病床転換助成事業の2年間延長を概ね了承した。【社会保険旬報編集部】 同事業は療養病床の転換を支援するため、医療機関が医療療養病床から介護保険施設等に転換する場合、その整備費用を都道府県が助成する事業。費用負担割合は国は27分の10、都道府県27分の5、保険者27分の12。平成20年度に事業を開始し、これまで2度事業期限を延長しており、現在の期限は令和5年度末。 厚労省は今後、地域医療構想や医療費適正化の取組みを集中的に進めていくため、2

三師会が診療報酬改定率+0.88%を評価(2023年12月20日)

日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会の三師会は12月20日、同日の大臣折衝で令和6年度診療報酬の改定率が決定したことを受けて合同記者会見を開いた。三師会それぞれの会長は今回の改定率について、一定の評価を示した。【社会保険旬報編集部】 令和6年度診療報酬改定について、診療報酬は+0.88%引き上げられることに決まった。各科改定率は、医科+0.52%、歯科+0.57%、調剤+0.16%となった。一方で薬価は▲0.97%、材料価格は▲0.02%と引き下げられた。 日本医師会

令和6年度平均保険料率は現行の10%を維持 協会けんぽ(2023年12月20日)

全国健康保険協会(協会けんぽ)は12月20日の運営委員会で、令和6年度平均保険料率についてとりまとめの議論を行い、現行の10%を維持することを決定した。 協会けんぽの令和4年度決算における収支差は4,319億円の黒字で(下図)、前年度比1,328億円の増加。しかし今後の財政については、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る赤字構造が解消されていないことから、楽観を許さない状況だとしている。 加えて▽被保険者数の伸びの鈍化、▽後期高齢者支援金の増加見込み、▽財政状況が悪化した健保

診療報酬改定の基本方針から令和6年度調剤報酬・薬価改定の方向性をイメージする(萩原雄二郎)

令和6年度診療報酬改定は、主として中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という)で年初来、議論が続けられてきました。その議論を踏まえ、令和5年12月には診療報酬改定の「基本方針」が決定しました。同月には財務省と厚生労働省の折衝により「改定率」も決定され、基本方針と改定率にしたがって中医協は具体的な診療報酬点数の設定を2月上旬ごろに答申、3月上旬には診療報酬改定の告示・通知が発出されます。その中の薬価改定については中医協の薬価専門部会がまとめる薬価制度改革の「骨子」にしたがい、