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2023年5月の記事一覧

病床数の合計は見込みを達成 令和4年度病床機能報告(2023年5月25日)

厚労省は5月25日の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)に、令和4年度病床機能報告の結果を報告した。 各医療機関が病棟単位で報告する病床機能報告による病床数の合計は119.9万床で約120万床だった(上図)。「2025年7月1日時点における病床の機能として予定」する病床数の合計は119.0万床で、さらに1千床減少する。 一方、2016年時点のデータで推計した2025年の医療需要に見合う病床の必要量は119.11万床であり、病床数全体で

厚労省が地域医療構想の進捗状況を報告 対応方針が合意済の医療機関は60%に(2023年5月25日)

厚労省は5月25日の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)に、地域医療構想の進捗状況を報告した。地域医療構想調整会議で協議される対応方針が措置済を含め「合意・検証済」となった医療機関は、半年間と比べ、36%から60%に上昇。厚労省は、「進捗が認められる」と評価した。ただ、委員からは、対応方針の具体的な内容がわからないことやデータ活用の不十分さを問題視する意見が出た。 公立・公的病院の策定も進展地域医療構想の進捗状況を把握するため、各医療機

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン「第6.0版」に改定(2023年5月24日)

厚労省は5月24日、健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループを開催し、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の「第6.0版」への改定をおおむね了承した。 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、電子カルテやレセプトコンピュータ等の医療機関等で利用される情報システムの安全な取扱いについて厚労省が示しているもの。システムベンダや医療機関に広く用いられており、診療報酬の加算要件として遵守が要求される場合もある。 今回の改定に当

在宅医療のためのNP創設に日医や病院団体が提言(2023年5月24日)

日本医師会は24日の会見で、「ナースプラクティショナー(NP)」についての提言を発表した。在宅医療の課題を解決するためのNP創設に対し、慎重な対応を求めている。 規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキンググループで、在宅医療の課題を解決するための新たな資格としてNP創設を求める意見が出ていることから、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会と共同でまとめた。 提言では、「医療機関および訪問看護ステーションがともに連絡体制について今一度確認し

オンライン診療などの基本方針を大筋で了承 社保審医療部会(2023年5月12日)

社会保障審議会・医療部会(遠藤久夫部会長)は5月12日、「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」(下図)を大筋で了承した。ただ、患者が介在しない医師同士の遠隔コンサルテーションなど医療従事者間でのやり取りを含む遠隔医療については、さらなる整理が必要との意見が相次いだ。同日の議論を反映させた上で、改めて医療部会に報告される。 基本方針は、令和3年6月に閣議決定された規制改革実施計画に、「国民、医療関係者双方のオンライン診療への理解が進み、地域において、オンライ

国立大学病院、42病院が9475病院に医師派遣(2023年5月19日)

国立大学病院長会議は5月19日の会見で、国立大学病院における地域への医師派遣の実態を発表した。42の国立大学病院が9475病院に医師を派遣し、地域医療体制の維持に貢献していることが示された。 来年4月からスタートする医師の働き方改革を踏まえ、国立大学病院を主たる勤務先としている医師の派遣・兼業先の件数(令和4年度)の調査を実施。 40都道府県に所在する42の国立大学病院は全体で9475病院へ派遣・兼業を行っている。最も多いのは東京大学の785病院で、浜松医科大学の508病

令和6年1月頃に諮問答申へ――改定に向けた分野横断的なテーマ等を議論 介護給付費分科会(2023年5月24日)

厚生労働省は5月24日、第217回社会保障審議会介護給付費分科会を開催。介護分野の最近の動向を確認するとともに、令和5年介護報酬改定に向けた分野横断的なテーマやスケジュールについて議論した。 分野横断的テーマ案は4つの柱、スケジュール案について異論はでず厚生労働省は、介護保険を取り巻く状況として、認定者数や保険料・費用に関する統計などを紹介した。 このうち高齢人口に関しては、要介護認定率は85歳以上で上昇することを前提に、85歳以上人口が2035年頃までは一貫して増加する

障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 令和6年度改定の議論開始 人材確保が焦点(2023年5月22日)

厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(主査:畦元将吾厚生労働大臣政務官)は5月22日、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の本格的な議論を開始した。物価高が続くなかで事業者が人材を確保するための処遇改善が今回改定の一つの焦点となる。今後、関係団体からのヒアリング等を経て基本的な考え方を取りまとめ、来年2月には報酬改定案を策定する。 4月に創設されたこども家庭庁に障害児支援が移管されたことに伴い、同庁から2名の職員が検討チームの構成員として加わっている。冒頭の挨拶で畦

日慢協の橋本会長が食事療養費の増額を要望(2023年5月18日)

日本慢性期医療協会の橋本康子会長は5月18日の会見で、病院給食の改善に向けて長年据え置かれている食事療養費の増額を要望した。 橋本会長は、入院患者の栄養状態について「急性期治療中に低体重・低栄養になり、回復期などの慢性期へもその状態で入院し、改善できずに退院している。回復期入院中も体重減少、低栄養は進行しており、そこには食事の全量摂取患者も含まれている」と指摘。体重減少・低栄養の要因については「体重減少はカロリー不足から生じるが、そもそもの基準栄養量の不足や高齢化などによる

指定介護予防支援事業者の対象拡大・経営情報の報告を義務化等――介護保険法改正法が公布(2023年5月19日)

「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」(法律第31号)が、5月19日に公布された。 かかりつけ医機能の制度整備や後期高齢者医療制度による出産育児一時金の支援等が盛り込まれ、健康保険法や医療法、医療確保総合確保法など多数の法改正が実施される。 介護保険法に関する一部改正も示されており、介護保険事業計画等へ生産性向上を位置づけるなどの計画に関する内容や指定介護予防支援事業者の対象拡大、介護サービス事業者経営情報に関する規定や地

義務化まで10か月――ここから始まる、BCP策定等に関する法令根拠と3つのポイント

介護施設・事業所が対象となる業務継続計画(BCP)の策定等に関する規定が、令和6年4月に経過措置を終え、完全実施となります。 具体的には、BCPの策定や見直し、これに関連する研修や訓練の実施などが、すべての施設や事業所に対して義務化されることになります。 実際のBCPの策定状況などについては、今後厚生労働省により行われる「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和5年度調査)」により明らかになることが見込まれています。 ですが、まだBCPの策定に着手し

次期改定に向けDPC制度の議論開始 DPCにふさわしい病院の基準など課題に(2023年4月24日)

中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は4月24日、令和6年度診療報酬改定に向け、入院医療などに関する本格的な議論を開始した。同日は、今後の検討事項やスケジュールを確認。令和5年度調査項目案を了承したほか、DPC/PDPSに関して、令和2年度特別調査の結果や現況が報告された。 DPC制度の特別調査結果DPC/PDPSの令和4年度特別調査の結果が報告された。調査では、DPC/PDPSになじまない可能性のある病院を含めたDPC対象病院の実態を把握するため

障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 令和6年度改定に向けて調査項目を了承(2023年3月28日)

厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(主査:畦元将吾厚生労働大臣政務官)は3月28日、令和6年度改定に向けて、サービス事業者の経営に関する調査の結果や進捗状況について報告を受けた。 調査は、①令和4年障害福祉サービス等経営概況調査②令和5年障害福祉サービス等経営実態調査③障害福祉サービス等報酬改定検証調査の3種類。サービスごとの利益の状況を示す「収支差率」が公表されるとともに、今後の調査における新たな調査項目が示され、検討チームはおおむね了承した。調査結果はいずれも次

健保法等改正法が参院本会議で可決、成立(2023年5月12日)

かかりつけ医機能の制度整備や出産育児一時金の費用を後期高齢者医療制度が支援することなどを盛り込んだ「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等改正法」が5月12日の参院本会議で、自民・公明・国民民主の賛成多数で可決、成立した。 採決に際し、立憲民主、維新、共産の代表は反対討論を行った。 前日の5月11日の参院厚生労働委員会では16項目の附帯決議が採択された。 後期高齢者支援金及び前期高齢者納付金の増大等により、財政運営が極めて困難な健康保険組合が急増