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2022年12月の記事一覧

中医協がオン資導入の原則義務付けの経過措置や診療報酬引上げを答申(12月23日)

中医協総会は12月23日、オンライン資格確認導入の原則義務付けの経過措置と医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱い、医薬品の安定供給のための取組みの推進に向けた診療報酬上の加算の取扱いに関して、加藤勝信厚生労働大臣の諮問に対し答申した。また、これらの措置が2023年4月から12月までの特例措置であることを確約するなど、5項目の答申書付帯意見をつけた。 医療DXを推進するため、オンライン資格確認の導入・普及を徹底させる観点から、医療情報・システム基盤整備体制充実加算を

2023年度予算案で大臣折衝 薬剤費の削減額は3,100億円(12月21日)

加藤勝信厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣は12月21日、2023年度予算案の大臣折衝を行い、社会保障関係費について、2022年度と比べ、実質的な伸びを4,100億円(年金スライド分除く)とすることで合意した。 歳出増の項目もある中で、2023年度の薬価の中間年改定で得られる財源により、支出増を抑えた形となっている。薬価改定の影響額は、薬剤費ベースで▲3,100億円(国費▲722億円)に相当する。 社会保障関係費に相当する予算の夏の概算要求時点の対前年度増加額は5,600億

訪問介護事業所は対前年1.5%増加、訪問看護ステーションは9.4%増 令和3年介護事業所調査(12月27日)

厚労省は12月27日、令和3年「介護サービス施設・事業所調査」の結果を公表した。 介護サービス施設・事業所調査は、毎年10月1日現在の状況を調査しているもの。全国の介護サービスを提供する施設・事業所数や職員の配置状況、介護サービスの利用状況等を把握し、今後の介護サービス関連施策の基礎資料を得ることを目的としている。 介護保険施設の施設数をみると、介護老人福祉施設が8,414施設(対前年+1.3%)、介護老人保健施設が4,279施設(▲0.6%)、介護医療院が617施設(

諮問会議が「改革工程表2022」を決定 医療・介護DXの推進を新たな柱に(12月22日)

政府の経済財政諮問会議は12月22日、「新経済・財政再生計画改革工程表2022」を決定した。骨太方針2022を踏まえて新たな施策を盛り込み、昨年末の「改革工程表2021」を見直した。社会保障の政策目標の柱に「医療・介護分野におけるDXの推進」を新たに加え、整理した。 政策目標の柱は、改革工程表2021の「予防・健康づくりの推進」「多様な就労・社会参加」「医療福祉サービス改革」「給付と負担の見直し」に、「医療・介護分野におけるDXの推進」を加えた。 医療・介護分野における

プログラム医療機器の開発・市場投入の促進へ 規制改革会議が中間答申(12月22日)

政府の規制改革会議は22日、「規制改革に関する中間答申」を決定した。プログラム医療機器(SaMD)の開発・市場投入の促進、新型コロナウイルスおよび季節性インフルエンザを同時に検査可能な抗原定性検査キットの利用環境の整備などを盛り込んだ。 プログラム医療機器(SaMD)については全国どこに住んでいても高度な医療を受けることを可能とするなどの観点から、社会実装は極めて重要な課題とした上で、①SaMDの臨床現場における使用を早期に可能とするため、二段階承認制度を導入する②革新的な

社会保障給付費が語るもの(中村秀一)

2020年度の異常な伸び8月30日に2020年度の社会保障給付費が公表された。その結果に驚かされた。その総額は132兆2211億円で、前年度から8兆2967億円、6.7%増という、近年にない伸びを示した。対GDP比も24.69%と2.45%高くなった。 これは政府の見通しを5.8兆円超過、対GDP比で2.5%上回るものであった。コロナ対策のために2020年度に3度の補正予算が組まれたことが反映している。 この結果、2020年度の社会保障給付費は、今年度(2022年度)の社

特養に「入所申込をしたが入所していない・できていない人」を調査 要介護度3以上の該当者は3年間で3.9万人減少(12月23日)

厚労省は12月23日、特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)に関する調査結果を公表した。特別養護老人ホームに入所を申し込んでいるものの当該ホームに入所していない人について、各都道府県の集計結果をとりまとめた。 特別養護老人ホームに入所を申し込んでいるものの当該ホームに入所していない人(以下「入所申込者」)で、要介護度3以上の方の数は全国で25.3万人だった(下表)。このうち在宅の方は10.6万人だった。 3年前の前回調査に比べて、要介護度3以上の入所申込者は

医療DX厚労省推進チーム タスクフォースの進捗状況報告受ける 加藤大臣「かなり検討が進んでいる」(12月22日)

厚労省は12月22日、第2回「医療DX令和ビジョン2030」厚労省推進チーム(本部長=加藤勝信厚生労働大臣)を開催した。2つのタスクフォースから検討の進捗状況の報告を受けるとともに、先進的な取組みを実施している病院からの報告を受けた。 「診療報酬改定DX」については、加藤厚労相から、社会保険診療報酬支払基金の電子点数表を用いて「共通算定モジュール」を開発するとの考えが示された。 加藤厚労相は、「『電子カルテ・医療情報基盤タスクフォース』からは検討中の課題の整理の報告を受け

1号保険料負担のあり方、一定以上所得者の判断基準、多床室の質量負担に結論を 社保審介護保険部会(12月19日・20日)

社会保障審議会の介護保険部会は12月19日、取りまとめに向けた「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」に関する2回目の議論を実施した。 「介護保険制度の見直しに関する意見」をとりまとめ前回示されなかった「給付と負担」および「おわりに」の案についても厚労省より示され、大筋の方向性として合意が得られた。そうしたことから、部会にて挙げられた意見の反映は菊池部会長に一任されることとなり、翌20日に「介護保険制度の見直しに関する意見」(以下「部会意見」)が公表された。 一定以上所

日医会長、かかりつけ医制度整備「細部は今後の議論」(12月21日)

日本医師会の松本吉郎会長は12月21日の会見で、政府の全世代型社会保障構築会議の報告書に盛り込まれた「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」について見解を表明した。手上げ方式などには賛意を示す一方、かかりつけ医機能の報告制度など細部については今後の議論であるとした。 報告書に明記された「複数の医療機関が緊密に連携して実施する」、「医療機関、患者それぞれの手挙げ方式」などの方向性については「賛成している」と述べた。 一方、「報告書は細部にわたって決められている内容ではない

支払基金、診療報酬「共通算定モジュール」の開発準備へ(12月21日)

社会保険診療報酬支払基金は12月21日の会見で、診療報酬改定DXの「共通算定モジュール」の開発について令和5年度から着手できるように準備を進めていることを明らかにした。翌22日の「医療DX令和ビジョン2030」厚労省推進チームの会合で、支払基金が開発を行うことを決定した。 共通算定モジュールは、診療報酬や改定作業を大幅に効率化し、医療機関やベンダーの負担軽減に向けて、各ベンダーが共通のものとして活用できる診療報酬改定・患者の窓口負担計算を行うための電子計算プログラム。

解熱鎮痛薬を入手しにくい薬局の「110番」を設置 卸売業界には安定供給を依頼(12月14日)

厚労省は、平時と比較して解熱鎮痛薬等の需要が増加した医療機関や小規模な薬局等が当該医薬品を購入できないなどのケースに対応するため、医療用解熱鎮痛薬等の供給相談窓口(医療用解熱鎮痛薬等110番)を省内に開設した。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、治療薬である解熱鎮痛薬等(咽頭痛治療薬トラネキサム酸、鎮咳薬を含む)の需要が増加する一方、製造販売業者からの限定出荷が続いている。 厚労省は平時と比較して解熱鎮痛薬等の需要が増加した医療機関や小規模な薬局等に優先してこれ

第8次医療計画の地域医療構想関連部分の記載を了承(12月14日)

厚労省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」は12月14日、第8次医療計画に盛り込む地域医療構想に関する部分の記載について大筋で了承した。 コロナ対応が続くなかでも、2025年までとしている地域医療構想の取組みを着実に推進するため、都道府県に対応方針の策定率と地域医療構想調整会議の実施状況の公表などを求める。 地域において過不足のない病床機能を整備するための地域医療構想については、新型コロナの感染拡大により、2025年までの実現に向けた取組みへの積極

制度改正で後期高齢者の1人当たり保険料は年平均5300円増に(12月9日)

厚労省は12月9日の社会保障審議会医療保険部会に、高齢者医療制度の改正による財政影響を提示した。 出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入や高齢者負担率の見直しに伴う後期高齢者一人当たり保険料額は、出産育児一時金を現行の42万円から47万円に引き上げた場合、年間平均で5300円増加する。年収153万円超の高齢者から負担が増え、年収200万円の人は3900円増、年収400万円の人は1万4200円増、年収1100万円の人は13万円増となる。 出産育児一時金の引上げと出産