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社会保険旬報 Web医療と介護

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2021年11月の記事一覧

オンライン診療の指針の改定案を了承(11月29日)

厚労省のオンライン診療の適切な実施に関する見直しに関する検討会は11月29日、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改定案を概ね了承した。 初診からのオンライン診療は、「かかりつけの医師」が行うことを原則とする一方、「かかりつけの医師」以外でも医学的情報が十分把握でき、医師が可能と判断した場合には実施できる方針を示した。 オンライン診療の適切な実施に関する指針は定期的に見直しを行うこととされており、前回の見直しは令和元年7月に実施した。その後、同検討会は初診からのオ

外来医療のデータ提出加算を中医協総会が議論(11月26日)

中医協総会は11月26日、外来医療のデータ提出に関する評価や、医薬品のレセプト摘要欄の記載などについて議論した。 入院に関するデータ提出加算を届け出る医療機関は年々増加し、いまや6割を超えている。厚労省は外来医療や在宅医療、リハビリ医療における患者の病態や医療行為の内容に関するデータを提出した場合の評価を、論点にあげた。 これについて日本医師会の城守国斗委員は、外来医療等に関するデータ提出を評価する加算を設けることには理解を示した上で、「データ提出により医療機関の負担が

日病協が実調受け病院の診療報酬の低さを訴える(11月26日)

日本病院団体協議会は11月26日、令和4年度診療報酬改定の参考とする医療経済実態調査が公表されたことを受け、見解を示した。政府によるコロナ対応への補助金で病院の収支は改善したが、補助金なしでは病院経営が危うくなる水準となっていたことを強調。病院の診療報酬が低いことを訴えた。 健保連など保険者側は令和4年度改定について、「診療報酬を引き上げる環境にはない」と主張している。これに対し、日病協議長の斉藤正身・日本リハビリテーション病院・施設協会会長は、診療報酬本体のプラス改定の

病院の収益率はコロナ補助金で▲6.9%が0.4%に回復(11月24日)

厚労省は11月24日、中医協の調査実施小委員会に、医療機関や歯科、薬局の医業経営などの実態を明らかにするための医療経済実態調査の結果を報告した。病院全体の損益率は、2019年度の▲3.1%から2020年度は▲6.9%に悪化したが、新型コロナ関連の補助金を含めると、0.4%の黒字となった。 病院の内訳では、医療法人の損益率は、2019年度の1.8%に対し2020年度は0.1%に悪化したが、コロナ補助金により2.3%まで回復した。国立は▲1.7%が▲9.2%に悪化し、コロナ補助

緩和ケア病棟の疼痛評価の要件化などを議論(11月19日)

中医協総会は11月19日、令和4年度診療報酬改定に向け、緩和ケア病棟や障害者病棟の課題を議論した。 緩和ケア病棟については、がん患者の疼痛の強さやパターンを数値で評価することが論点となった。「新版がん緩和ケアガイドブック」によると、疼痛の強さは1~10点、パターンは持続する痛みや突出する痛みにより評価を実施することを推奨している。 現状では、緩和ケア病棟入院料1の1割程度、入院料2の2割程度の施設で実施されていなかった。委員からは、疼痛評価の入院料への要件化を求める意

療養病棟入院基本料の経過措置の終了の是非で賛否(11月19日)

中医協総会は11月19日、令和4年度診療報酬改定に向け慢性期入院医療をテーマに議論した。療養病棟入院基本料の経過措置(注11)の廃止の是非が論点となった。経過措置の病棟は現在、看護職員配置が25対1で、医療区分2・3の該当患者割合の要件がない。点数は療養病棟入院基本料2の15%減算となっている。 診療側は、「療養病床も新型コロナの影響を受けている。すぐに終了ということになれば、現場が混乱し患者への影響も大きい」と存続を求めた。支払側も、「経過措置であることの趣旨を踏まえれ

日精協が身体拘束を違法とする判決に抗議(11月26日)

日本精神科病院協会は11月26日、精神科病院に入院中の患者の死亡は身体拘束が原因とする最高裁判所の決定に対し、反対する声明を発表した。 石川県の精神科病院で入院中の患者が死亡したのは身体拘束が原因だとして家族が病院側に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁判所の不受理により病院側に約3500万円の支払いを命じた二審の判決が確定した。 「精神保健指定医の治療的判断がその裁量を逸脱して違法である」との新たな判断がなされた点について、日精協は「今後の精神科医療のあり方に対して多大な影

中川会長が実調で見解「補助金なくなり診療報酬で手当てを」(11月24日)

日本医師会の中川俊男会長は11月24日の会見で、同日公表された医療経済実態調査(実調)について見解を示した。 実調の結果について「新型コロナウイルス感染症に対して診療報酬による特例的な対応が取られたものの、コロナ補助金を除いた損益差額率は大きく悪化している。「今後、新型コロナが収束していけば補助金は当然なくなる。今ここで、診療報酬できちんと手当てしなければ、地域医療を立ち直らせることはできない」と述べた。 令和4年度診療報酬改定については、「医療現場は新型コロナの対

支払側6団体が次期診療報酬改定へ要望(11月24日)

中医協の支払側委員を務める健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全国健康保険協会、全日本海員組合、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会の6団体は11月24日、令和4年度診療報酬改定に向けた要望書を厚労省へ提出した。 要望書では、新型コロナウイルス感染症により「社会・経済の先行きは依然として不透明」とする一方、「コロナ禍においても地域医療構想で想定している人口構造と医療ニーズの変化は止まらない」と指摘。「令和4年度は診療報酬を引き上げる環境になく、国民の負担軽減につなげ

循環器病対策推進協議会が総合支援センターの設置を了承(11月19日)

厚労省の循環器病対策推進協議会は11月19日、地域の循環器医療の包括的な支援体制を構築するため、循環器病総合支援センターの設置について了承した。 循環器病に対する総合支援の取組みについて、厚労省は、地域の情報提供・相談支援等の中心的な役割を担う、総合支援センターを新たに設置することを提案。 総合支援センターは都道府県の推薦に基づいて地域の中心的な医療機関に設置する。 令和4年度からモデル事業として数か所に設置後、将来的に全国に設置するとした。 また、この総合支援センター

財政審の主張は「領空侵犯」 日医中川会長が反論(11月17日)

日本医師会の中川俊男会長は11月17日の会見で、財務省が11月8日の財政制度等審議会財政制度分科会で示した診療報酬改定についての考え方に対して反論した。 財政審で提出された資料については、「財政面から個々の項目について問題点を指摘しようとするのは財務省の役割であり、大変よく勉強して頑張っているという印象」と言及した。その一方で、「所管である財政の問題を超えて細かく医療の各論に踏み込んでくるのは、省としての守備範囲を超えており、現場の感覚と大きくずれている点もあり容認できない

令和元年の国民医療費は2.3%増の44兆3895億円(11月9日)

厚労省は11月9日、令和元年度の国民医療費を発表した。総額は44兆3895億円(前年度比2.3%増加)、1人当たり国民医療費は35万1800円(同2.5%増加)となった。いずれも3年連続の増加で、過去最高を更新した。 国民医療費の国内総生産(GDP)に占める比率は7.93%(前年度7.79%)、国民所得(NI)に占める比率は11.06%(同10.79%)。 財源別では、保険料は21兆9426億円で全体の約半数を占め、公費が16兆9807億円で4割弱となった。保険料のうち

「分配の政治」に思う(中村秀一)

世帯の所得は回復しなかったアベノミクス前回のコラム執筆後に自民党の総裁選があり、岸田総裁が誕生した。臨時国会で10月4日に首相への指名が行われた。所信表明、代表質問を経て、14日に解散、総選挙となった。読者がこのコラムを読まれる際には、新内閣への国民の審判がなされているはずだ。昨年12月の本コラムで菅首相の所信表明について取り上げた。1年足らずで、新首相の政策を論じることになろうとは思わなかった。 新首相は総裁選で「所得倍増」を主張し、国会の所信表明では「新しい資本主義」を

医療資源重点活用外来を担う病院の入院医療の評価に賛否(11月12日)

中医協総会は11月12日、令和4年度診療報酬改定に向け外来医療を議論した。来年度以降に位置付けられる医療資源を重点的に活用する外来を担う病院の評価が論点となった。入院医療における評価と、紹介元に患者を戻す際に情報提供を行った場合の診療情報提供料(Ⅲ)での評価を議論した。 入院医療の評価では、現状で定額負担が義務化されている地域医療支援病院に対して、入院初日の地域医療支援病院入院診療加算(1000点)がある。診療側の委員はこの加算と整合性のある入院医療での評価を求めた。支払