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2021年10月の記事一覧

がん診療提供体制のあり方に関する検討会が開催(10月27日)

厚労省は27日、本年度初めてとなる「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」を開催した。各拠点病院の指針改定について、今後のスケジュールを確認した。座長は土岐祐一郎・大阪大学大学院医学系研究科外科系臨床医学専攻・外科学講座消化器外科学 教授。 検討会のもと、「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するWG」、「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するWG」、「小児がん拠点病院等の指定要件に関するWG」での検討事項を踏まえ、2022年7月頃に整備指針を改定する。 今

特定行為研修修了看護師による同行訪問を評価する方向(10月27日)

中医協総会は10月27日、令和4年度診療報酬改定に向けて訪問看護を議論した。特定行為研修を修了した看護師が同行看護をして専門的な処置を行った場合を、新たに評価する方向だ。 現在、専門・認定看護師が他の看護師と共同で訪問看護を行う場合、訪問看護基本療養費Ⅰの「ハ」(12,850円)を算定できる。これについて厚労省は、特定行為研修を修了した看護師にはこの取扱いが認められていないことを論点とした。 日本医師会の城守国斗委員は、「専門性の高い訪問看護を評価する方向は理解する」とし

審査基準統一へ医科の取決事項はわずか1.2%(10月26日)

社会保険診療報酬支払基金の須田俊孝理事長特任補佐は26日の会見で、支払基金改革の進捗状況について発表した。審査結果の不合理な差異解消に向けた審査基準の統一の取り組みでは、検討終了している審査取決事項は医科1.2%、歯科95.5%、調剤23.0%であることを明らかにした。 審査取決事項の9月時点の整理状況をみると、医科は2万6487の取決事項のうち、328(1.2%)について検討を終了した。歯科は6246の取決事項事項のうち、5968(95.5%)について検討を終了。調剤は

医療資源重点活用外来を担う医療機関の呼称を議論(10月20日)

厚労省は10月20日の外来機能報告等に関するワーキンググループに、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の呼称案を示した。呼称案は、「紹介外来医療機関」や「医療資源活用外来基幹医療機関」など。委員からさまざまな意見が出て、まとまらなかった。 地域住民へのわかりやすさを優先し、「紹介」の言葉を用いることを支持する意見と、正確性を優先し「医療資源」を用いることを支持する意見の両者があった。 また、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う

かかりつけ医機能を評価する外来の診療報酬を議論(10月20日)

中医協総会は10月20日、外来をテーマに令和4年度診療報酬改定に向けた議論を行った。 厚労省は、◇地域包括診療料・地域包括診療加算◇小児かかりつけ診療料◇診療情報提供料(Ⅲ)◇生活習慣病管理料◇耳鼻咽喉科の診療と小児抗菌薬適正使用支援加算等─の課題と論点を提示した。 ただ、支払側の委員から、「厚労省の提案は現状の診療報酬項目の部分的な見直しに過ぎない。かかりつけ医機能を評価する現状の診療報酬の問題が何であるかの議論をすべきだ」といった意見が出た。 これに対し診療側の委員

改定の視点は新型コロナに対応できる医療提供体制など4項目(10月22日)

社会保障審議会の医療保険部会は10月22日、令和4年度診療報酬改定の基本方針について議論した。 厚労省は、改定の基本的視点として①新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築②安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進③患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4項目を示し、特に①と②を重点課題に位置付けた。次回も引き続き議論する。

健保組合全国大会「現役世代の負担軽減」などを決議(10月19日)

健保連は10月19日、都内で令和3年度健康保険組合大会を開き、①国民が安心できる安全で効率的な医療の実現②現役世代の負担軽減と世代間の公平性の確保③健康寿命の延伸に向けた保健事業のさらなる推進―の決議を採択した。 基調演説で宮永俊一会長は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に入る2022年度から2025年度にかけての高齢者医療制度への拠出金負担が急増する構造的な問題について「何ら変わっていない。このまま拠出金が際限なく増え続け、負担に耐え切れず解散に追い込まれる健保組

医業経営コンサル協会、控除対象外消費税解決へ医療・介護を課税に(10月14日)

日本医業経営コンサルタント協会は10月14日に会見を開き、「医療機関等における税制のあり方に関する提言」を発表した。 提言は、①医療法人・個人立医療機関の承継税制等の整備②医師の勤務環境改善支援のための税制措置創設③医療及び介護に係る控除対象外消費税問題の抜本的解決④新型コロナウイルス感染症に関する税制措置―の4つ。 医療機関の承継税制の整備では、現在経過措置とされている「持分あり医療法人」について経過措置を改め、持分あり医療法人の新たな相続税と贈与税の納税猶予・免除

令和4年度診療報酬改定に向け第2ラウンドの議論開始(10月13日)

中医協総会は10月13日、令和4年度診療報酬改定に向け、第2ラウンドの議論を開始した。医科の入院や外来、歯科、調剤などの課題があるなかで、同日は在宅医療をテーマに議論を行った。 具体的には、在宅医療を担う医療機関の裾野を広げるための継続診療加算の要件緩和や、在宅療養支援診療所・病院の位置づけ、外来担当医師と在宅担当医師による共同指導の評価、在宅ターミナルケア加算の要件緩和が論点となった。 今後、各テーマに関して、個別的な論点での議論が、来年2月中旬頃の厚生労働大臣答申

医療・介護の総合確保方針の改定へ(10月11日)

厚労省の医療介護総合確保促進会議は10月11日、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)の改定に向けた進め方について了承した。来年末を目途にとりまとめることを目指し、議論していく。 「総合確保方針」は2014年9月に制定され、2016年12月に一部が改定された。 一方、2024年度の「第8次医療計画」と「第9期介護保険事業(支援)計画」の同時改定を踏まえ、「医療計画基本方針」と「介護保険事業計画基本指針」の改定が行われる。

オンライン診療の指針の改訂に向け検討会が議論再開(10月7日)

厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は7日、初診からのオンライン診療を可能とするための指針の改訂の議論を再開した。診療報酬の議論は中医協で行われるため、厚労省としては、検討会で指針改訂の議論を可能な限り早くまとめたい考えだ。 現状では、新型コロナの状況を踏まえ、時限的・特例的に、初診からの電話・オンライン診療が実施されている。一方、新型コロナ収束後を見据え、通常ルールとしてのオンライン診療の指針を改訂し、初診からのオンライン診療を可能と

最先端医療における国家戦略特区の全国展開の議論開始(10月4日)

社会保障審議会・医療部会は10月4日、国家戦略特区における最先端医療の病床特例を全国展開する制度の検討を開始した。令和3年度中に結論を得る方針で、10月以降に国家戦略特区ワーキンググループで議論。年度内に医療部会で方向性を決定する。 医療法では、基準病床制度を設けており、病床過剰地域では、公的医療機関などの増床はできない。しかし、特区で認められた場合は、増床を認められる。2014年度の制度開始以降、手術支援ロボットであるダヴィンチ手術やiPS細胞を用いた再生医療などを実施

日医と知事会が新型コロナ対策で意見交換会を開催(10月5日)

日本医師会と全国知事会は10月5日、新型コロナウイルス感染症に関する意見交換会を開いた。 2日に知事会がまとめた「緊急事態宣言等の解除を受けた緊急提言」を踏まえて、感染拡大防止対策の徹底や出口戦略、検査・医療体制や水際対策の強化、ワクチン接種の円滑な実施について議論した。今後、定期的に開催していく意向だ。 意見交換会で日医の中川俊男会長は、「本会と全国知事会は基本的には同じ方向を向いていると認識している。日本の医療は都道府県が担っており、都道府県医師会と行政の連携が不

コロナがもたらした医療費の減(中村秀一)

厚生労働省は8月31日に2020年度の概算医療費を公表した。それによると20年度の医療費は42.2兆円で、前年度の43.6兆円から1.4兆円の減少(3.2%減)である。言うまでもなく、コロナ禍に伴う国民の受診抑制(一部には医療機関の診療抑制)の影響である。受診延日数は8.5%減であり、特に医科の入院外では10.1%減と大幅減となっている。 1954年以降、5回目の医療費減国民医療費の統計は1954年まで遡ることができるが、直近の統計がある2018年度までの64年間で医療費が