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社会保険旬報 Web医療と介護

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2021年7月の記事一覧

障害児入所施設の過齢児への対応を障害者部会に提示(7月28日)

厚労省は7月28日、障害児入所施設に18歳以上になっても入所を続けている「過齢児」への対応について社保審・障害者部会に示し、意見を求めた。 具体的に、過齢児の障害者入所施設や地域生活への移行について都道府県(政令市)が責任主体となり協議の場を設置して関係者の協力のもとで移行調整を進める新たな枠組みを構築することを説明した。現在、特例的に障害児入所施設を障害者入所施設とみなして過齢児の入所を認めて支給している経過的サービス費は、令和5年度末まで継続する。 部会では概ね了

訪問介護の適切な提供に向けケアプランを検証(7月28日)

訪問介護の適切な提供につながるケアプランの作成に向け、一定の基準を満たす居宅介護支援事業所を抽出してケアプランの検討を求める新たな仕組みが10月から開始される。 厚労省は7月28日、対象となる事業所の基準について社保審・介護給付費分科会に報告した。 新たな仕組みの導入は、令和3年度介護報酬改定に関する審議報告を踏まえたもの。区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ訪問介護が利用サービスの大部分を占めるケアプランを作成する居宅介護支援事業所を抽出する。 対象は厚労大

介護従事者処遇状況等調査の実施を介護給付費分科会が了承(7月28日)

厚労省は7月28日、令和3年度介護従事者処遇状況等調査の実施について社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)に示し、意見を求めた。分科会は調査の実施について了承した。 同調査では、介護従事者の賃金などの処遇の状況を把握するとともに、介護職員処遇改善加算等の影響を評価する。介護保険施設や訪問介護など11サービスについて層化無作為抽出法により調査対象の事業所を抽出。10月に調査を行い、調査結果を来年3月に公表する予定だ。 6月28日の介護事業経営調査委員会における

病院の耐震化率は77.3%で80%目標達成は困難に(7月20日)

厚労省は7月20日、病院の耐震改修状況調査の結果を発表した。2020年10月時点の病院の耐震化率は77.3%で、2019年度の76.0%から1.3ポイント上昇した。耐震化率は2020年度末に80%を目指しており、着実に進展している。 しかし、都道府県の聞き取りによる2020年度末の見込みを考慮すると、77.5%であり、閣議決定した政府の目標は達成できていない見通しだ。 一方、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は93.6%となり、2019

歯科用貴金属材料の公定価格の設定でさらなる対応議論(7月21日)

中医協総会は7月21日、価格変動が著しい歯科用貴金属材料の公定価格の設定に向け、議論を行った。歯科用貴金属材料の公定改定については、金銀パラジウム合金等の価格変動により、実勢価格が公定価格を上回る状況が生じやすい状況にある。できるだけ価格差が生じている期間を短くする見直しが行われており、今年度から従来の4、10月に加え、1、7月の随時改定を実施した。 診療側の日本歯科医師会の林正純委員は「後追いではあるが、随時改定は一定の役割を果たしている」と評価した。その上で、「最近の

働き方改革への対応などを中医協総会で議論(7月21日)

中医協総会は7月21日、次期診療報酬改定に向け、働き方改革の推進への対応をめぐり議論した。改正医療法の成立を受け、医師の働き方改革が2024年度から施行される。長時間勤務の医師の労働時間削減やタスクシフトの推進などが求められる。適切な医療を提供する上で設けられている人員配置など様々な規制の緩和を求める要望も出ている。同日の議論では、診療側・支払側双方が「医療の質を下げずに、働き方改革に対応する方法を考える」という意見で一致した。 診療側の日本医師会の松本吉郎委員は、202

コロナ患者への治療薬を承認し医療機関に譲渡(7月20日)

厚労省は7月20日、「新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬『カシリビマブおよびイムデビマブ』の医療機関への配分について(依頼)」(令和5年2月28日最終改正)を事務連絡した。新型コロナに感染した患者への治療薬であるロナプリーブ点滴注セット(中外製薬)が、19日に特例承認されたことを受けたもの。日本への流通量が限られるため、厚労省が製造販売者から直接提供を受け、一般流通は行わず、医療機関の依頼に基づき、無償で譲渡することなどを示した。 ロナプリーブを希望する医療機関は

医療機関での救急救命士の活用に向け研修項目など固める(7月16日)

厚労省の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会は7月16日、改正救急救命士法の施行に向けて、医療機関で救急救命士を活用する制度の大枠を了承した。医療機関に所属する救急救命士の業務の質を担保するため、医療機関内に「救急救命士による救急救命処置の実施に関する委員会」を設置するとともに、医療機関は救急救命士に研修を実施するというもの。 法改正により、10月以降、救急救命士は救急車内や救急現場だけでなく、医療機関内の救急医療の現場でも救急救命処置を実施できるようになる。

障害者総合支援法の見直しに向け相談支援等について議論(7月16日)

社会保障審議会障害者部会(菊池馨実部会長)は16日、障害者総合支援法等の見直しに向けて、相談支援や(自立支援)協議会、地域生活支援事業などについて意見交換を行った。複雑化している相談支援事業の体系を再整理する方向が示された。また(自立支援)協議会の活性化に向け、活動を評価する仕組みの導入が提案された。 障害者の相談支援は、個別給付で提供される相談支援や地域生活支援事業に実施される障害者相談支援事業など、体系が複雑になっている。厚労省は「アクセスしやすい仕組みへ再構築するこ

日病協が疾患別リハのアウトカム評価の問題点を議論(7月16日)

日本病院団体協議会は7月16日に代表者会議を開き、最近の医療情勢をめぐり意見交換を行った。中医協で2022年度診療報酬改定に向けた議論が本格化したことから、中医協の論点に関し、議論が行われた。特に、疾患別リハビリテーションのアウトカムが、FIM(機能的自立度評価法)の実績指数のみで評価されていることの問題点を指摘する意見が相次いだ。 会見で、日本リハビリテーション病院・施設協会会長の斉藤正身議長は会見で、「リハビリが必要な患者の状態は多様で、リハビリの効果はFIMだけでは

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定のポイント[3]医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の6つの主要事項のうち、今回は「3 医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進」について詳しくみてみます。 前回の記事:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定のポイント[2]効果的な就労支援や障害児者のニーズを踏まえたきめ細かな対応 令和3年度障害福祉サービス等報酬改定においては、前回改定で導入された医療的ケア児に係る判定基準が、厚生労働科学研究において開発された見守り等のケアニーズ等を踏まえた判定基準に見直されました。 これに伴い

高齢者のワクチン接種と感染状況の推移を報告(7月13日)

東京都医師会の平川博之副会長は7月13日の会見で、高齢者のワクチン接種と感染状況の推移などの中間報告を発表した。ワクチン接種推進の結果、高齢者の新規感染者数は大幅に減少していると評価した。 ワクチン接種と感染者数の関連性を図る一例として、東京都八王子市のワクチン接種状況を紹介。八王子市は4月中旬から集団接種を中心に開始し、7月12日時点で、60歳以上の1回目接種完了が80.7%、2回目接種完了が62.3%と、全国平均と比べてかなり進んでいる。一方、市内年代別感染者数をみると

都医尾﨑会長「ワクチン接種と抗原検査の併用を」(7月13日)

東京都医師会の尾﨑治夫会長は7月13日の会見で、新型コロナウイルス感染症への対応としてワクチン接種の推進と、迅速抗原検査等を用いた社会活動の活性化をめざすべきとの見解を示した。 尾﨑会長は、新型コロナへの対応はワクチン接種を進めていくことが最も有効な方法とした上で、「都医としては、打ち手を確保し接種を進めていくことが一番の課題だと思っている。いまだワクチンの効果が全世代に行き渡り、感染を抑えているという状況ではない。引き続き人流を抑え、感染者を急増させないことが重要」と述

社会福祉連携推進法人の会計基準素案を提示(7月13日)

厚労省は13日、新たに導入される社会福祉連携推進法人の会計基準や関係通知の素案について社会福祉会計基準等検討会に示した。連携推進法人は来年6月までに施行される。会計基準案は文言などの微修正を行い、パブリックコメントを実施した後、公布される。パブコメは早ければ8月中に実施される方向だ。 参考:第3回社会福祉法人会計基準等検討会 資料 会計基準は厚労省令で規定される。構成は大きく ①総則 ②会計帳簿 ③計算関係書類 ④財産目録 の4つ。 このうち③計算関係書類について