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2020年10月の記事一覧

勤続10年以上の介護福祉士で2万円超の賃金改善(10月30日)

厚労省は10月30日、令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果を公表した。 昨年10月に創設した介護職員等特定処遇改善加算を算定している事業所において、勤続10年以上の介護福祉士(月給・常勤)の平均給与額を平成31年2月と令和2年2月で比較すると、2万740円増加していたことが分かった。加算を取得している事業所の介護職員では1万8120円増加した。 同加算の目的は、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ介護職員の処遇改善を進めることであり、一定程度の効果が確認された。

令和元年度の介護サービスの収支率は前年度から0.7ポイント低下し2.4%(10月30日)

厚労省は10月30日、令和2年度介護事業経営実態調査結果(実態調査)を公表した。 同日相次いで開催された、社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会(委員長=田中滋分科会長)や、分科会に報告された。令和元年度の決算に基づく介護サービス全体の収支差率(税引き前)は平成30年度から0.7ポイント低下し2.4%になったことが分かった。収支差率の低下について厚労省は、人材確保難から人件費が増加している影響と分析している。 実態調査と合わせて、令和2年度介護従事者処遇

障害者のピアサポートの専門性を加算で評価することを提示(10月30日)

厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは10月30日、令和3年度報酬改定に向けて、⑴ピアサポートの専門性の評価、⑵計画相談支援・障害児相談支援に係る基準・報酬、⑶精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進─について検討した。 厚労省は、地域移行支援など5サービスで研修を受講したピアサポーターの配置など一定の要件を満たした事業所に対する加算の導入を提示した。 また計画相談支援・障害児相談支援では、特定事業所加算を基本報酬に組み入れる形での見直しを示した。 精神

「高齢者の保険料で資産を考慮するのは時期尚早」医療保険部会(10月28日)

社会保障審議会医療保険部会は10月28日、医療保険制度において高齢者の「所得」だけでなく「資産」の保有状況に応じた負担を求めるのは時期尚早との考えで一致した。 政府は新経済・財政再生計画の改革工程表2019で、高齢者医療制度の負担について、「所得」のみではなく「資産」の保有状況を適切に評価し、高齢者に能力に応じた負担を求めることを検討する方針を示してきた。 これについて厚労省は医療保険部会に、医療保険制度の負担の議論において資産を考慮するのは時期尚早との見解を示し、概

費用対効果評価制度は拡大より検証が先決(10月28日)

中医協総会は10月28日、医薬品などの費用対効果評価制度の今後の課題を議論した。 経済財政諮問会議などから、保険収載の可否を含めた費用対効果評価制度の実施範囲・規模の拡大の検討が求められている。しかし、昨年4月から運用が始まり、まだ対象品目(12品目)の分析結果も出ていないことから、まずは分析結果の検証が先決で、制度の拡大はその後の課題との意見で一致した。 また、費用対効果評価を実施する人材の育成や体制の強化を求める意見も相次いだ。 厚労省は、国立保健科学医療院の人員

精神障害のピアサポートについて議論(10月26日)

厚労省の「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」(神庭重信座長)は10月26日、精神障害当事者や家族の関わりなどについて構成員からの発表を受け、意見交換を行った。 (株)MARS櫻田なつみ氏が就労支援などの多機能型事業所におけるピアサポーターとしての活動を紹介。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪和誠氏はピアサポート専門員の養成の取り組みを報告した。また全国精神保健福祉会連合会の小幡恭弘氏が、精神障害者の家族による学習会事業などのピアサ

新型コロナを受け、医療計画の記載事項の見直しを検討へ(10月28日)

厚労省は28日、厚生科学審議会感染症部会(脇田隆宇部会長)に、新型コロナウイルス感染症を受け、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に向け、医療計画の記載事項を見直す方向を示し、了承された。 今後、感染症部会と連携して社会保障審議会医療部会等で議論を進めていく。 厚労省は、今般の新型コロナウイルス感染症のような新興感染症等の感染拡大時に、広く一般の医療連携体制にも大きな影響が及ぶことを前提に、必要な対応が機動的に講じられるよう、感染症法に基づく基本指針に即して

介護助手の活用や予備介護福祉士制度の創設を求める─経済同友会が介護保険の見直しを提言(10月22日)

経済同友会は22日、提言「希望ある超高齢社会を支える介護の枠組み」を公表した。 大きく①介護人材を惹きつける方策②サービスの質の向上に資する「自立の支援」のための公的枠組みの見直し③事業者のサービス提供体制の効率化─の3つの観点から、介護現場の課題解決に向けて意見を述べており、介護助手の活用を主張している。 さらに今般の新型コロナウイルス感染拡大を受けて「予備介護福祉士制度」の創設も求めている。 インセンティブとして「介護助手従事者控除」の創設を このうち①では、介護

中川会長がオンライン診療と後期高齢者の患者負担で見解(10月28日)

日本医師会の中川俊男会長は10月28日の会見で、オンライン診療および後期高齢者医療の患者負担のあり方について見解を表明した。 オンライン診療については、受診歴がなく、かかりつけ医からの情報提供もない「新患」は不可と明言。後期高齢者の窓口負担の引き上げについては「限定的にとどめ、同時に低所得者に配慮する必要がある」と述べた。 オンライン診療については、既に日医の基本的な考え方を示しているが、改めて説明。 中川会長は、①定期的な医学管理を行っている患者に対して、かかりつ

日医が佐々木希さん出演の「安心マーク」㏚動画で発表会(10月28日)

日本医師会は10月28日、新型コロナウイルス感染症の感染対策を実施している医療機関に配布している「みんなで安心マーク」の㏚動画発表会を開催した。 中川俊男会長と動画に出演しているタレント・女優の佐々木希さんが登壇し、医療機関の受診を呼びかけた。 日医が8月7日に開始した「みんなで安心マーク」は現在、約1万4500件が発行されている。今回、国民に対する同マークの周知とともに、医療機関に安心して受診してもらうことを目的に、予防接種偏と健康診断編の2本の動画を作成。日医のホー

総合事業の弾力化などの実施に向け改正省令を公布(10月22日)

厚労省は10月22日、介護保険法施行規則の一部を改正する省令を公布した。 改正では、介護予防・日常生活支援総合事業の弾力化を図ることや在宅医療・介護連携推進事業の見直しを行う。施行は令和3年4月1日から。 総合事業の弾力化は、介護保険部会意見書を踏まえた改正。対象者とサービス価格の上限の弾力化を図る。対象者については要介護になる前に、総合事業の住民主体のサービスなど市町村の補助により実施されるサービスを継続的に利用していた居宅要介護被保険者を追加する。このことで介護給

予防接種法・検疫法改正法案を国会に提出(10月27日)

政府は10月27日、予防接種法及び検疫法の一部改正法案を閣議決定し国会に提出した。 改正法の施行は公布日から。予防接種法改正は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を迅速に行う体制を整備するもの。検疫法改正は同法に基づく指定感染症としての指定期限を1年以内に限り延長できるようにするもの。 予防接種法改正では、新型コロナウイルス感染症のまん延予防のために、同法の臨時接種に関する特例を設け、厚生労働大臣の指示のもと、都道府県の協力により市町村で予防接種を実施するものとする。予

退院当日の訪問看護の対象拡大について議論(10月22日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は10月22日、令和3年度の介護報酬改定に向け訪問系サービスについて検討した。 厚労省は退院当日の訪問看護の提供が可能な対象を現行より広くする方向を示した。賛成する意見と、慎重な検討を求める意見の両論が出た。 4人に1人が退院日に1人で過ごす 退院・退所当日の介護保険の訪問看護の算定は例外的に、特別管理加算の対象に該当する、厚生労働大臣が定め状態にある者で可能だ。たとえばがんで在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている者や、真

訪問介護での看取り期の評価の導入を提案(10月22日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は10月22日、令和3年度の介護報酬改定に向け訪問系サービスについて検討した。 訪問介護について厚労省は、新たに看取り期の評価を導入することを提案した。複数の委員が導入を支持した。 病院間の通院等乗降介助を可能に 訪問介護について厚労省は、新たに看取り期の評価の導入を提案(訪問入浴介護も同様)。現行では訪問(入浴)介護には、看取りに関する加算は存在しない。 意見交換で、日本介護福祉士会の藤野裕子委員は賛意を表明。「看取り