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新しい年金時代

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2024年3月の記事一覧

三宅社労士の年金実務セミナー|#18 遺族年金の基礎的な知識①~給付内容

以前から年金の損得論は絶えることがありません。公的年金制度は中立を基本に設計されていますから、そもそも損得論自体がどうかと思われます。しかし、現実には「何年もらえば元が取れるのか」とよく質問されます。この質問には遺族年金のことは含まれていません。遺族年金の給付額は死亡者の保険料納付実績に応じて決まりますから、死亡後も遺族に給付が続きます。 余談が長くなりましたが、今回は遺族給付ついて、押さえておきたい基本事項を説明していきます。遺族年金は、遺族であれば誰でも受けられるわけで

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#3|基礎年金の拠出期間の延長の論点

高橋 俊之(たかはし としゆき)/日本総合研究所特任研究員、前厚生労働省年金局長 1.少子高齢化と年金⑴平均余命は60年間で10年も伸びた。今後50年でさらに3年伸びる  65歳の人の平均余命は、女性が24.88年(89.88歳まで生きる)で、男性が19.97年(84.97歳まで生きる)です。65歳の女性の62%、男性の37%が、90歳まで生きると見込まれているわけですから、かなりの長寿社会です。国民皆年金が発足した1961年には、65歳の人の平均余命は、女性は14.10

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#42 解題『ちょっと気になる政策思想』(中)右側の経済学と左側の経済学 

右側の経済学と左側の経済学さて、以上を頭に置いて、本書の「白眉」でもある、右側の経済学と左側の経済学について見ていきましょう。 著者は、アダム・スミス以来の経済学の系譜を改めて紐解き、経済学を「右側の経済学」と「左側の経済学」に区分しています。この両者を区分する一番のメルクマールは、「市場の機能に関する認識」が全く異なっていることだ、と著者は説きます。 要すれば、経済規模を規定する主因を何と考えるか、経済活動における供給に着目する経済学と需要に焦点を当てる経済学、ということ

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海外で年金を受け取る場合の届書

老齢や遺族年金など日本の公的年金は、海外に居住していても受給できます。その際、日本に住んでいなくても、非居住者として年金に20.42%の(日本の)所得税が課税されます。ただし、租税条約を締結している国であれば、届書を提出することで日本の所得税は免除され、居住国の税法により課税されます。 なお、海外の金融機関への送金は、国ごとに送金通貨が指定されており、個々に希望する通貨を指定することはできません。振込日の為替レートで換算された金額が振り込まれ、年金額は為替レートの変動の影響を

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#3 亡くなってからでは遅いかも?遺族年金の見込額を知ってリスクに備えよう!

ライフプランを立てる上で、自分と配偶者の公的年金の額を知っておくことは大切なことです。 家計の見直し相談の際、「公的保障である遺族年金の額を確認されてから、生命保険に加入しましたか?」と質問しています。 ところが、相談者からは、「遺族年金?どうしてですか?」と聞き返されることがあります。 万一のリスクに備えて生命保険に加入することは大事なことですが、家計の支出の中でも保険料の占める割合が大きいこともあります。 一般的には、公的保障である遺族年金でカバーできない部分につ

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#33 離婚後の内縁関係における遺族厚生年金の受給について

今回は、別居を経て離婚後、内縁関係にあった夫が死亡し、妻が遺族厚生年金の請求に訪れたケースです。このケースでは離婚前から別居しており、その内縁関係が事実婚関係と認められるか、また生計維持関係があるか、がポイントです。

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#29|障害年金受給者の額改定請求(その2)

 傷病を患ったことにより障害状態になった直後、その傷病が原因で合併症等を引き起こし、それによって新たな障害がもうひとつ増えるというように、短い時間の中で複数の障害状態になることもあります。  通常ですと、障害年金は障害認定日(原則、初診日から1年6カ月経過した日)に障害状態を診査することとなりますので、複数の障害が短時間差で発生した場合でも、障害認定日請求をすれば、それらをまとめて診査することとなりますので、特に問題はありません。  しかし、仮に、そのひとつひとつの障害が

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#41 解題『ちょっと気になる政策思想』(上)全ての経済学には「思想」がある 

みなさんこんにちは。 1月に入って、バクーは厳寒の毎日が続いています。もともと風が強い街ですが、暖冬だった去年と違って今年は寒波が何度も押し寄せてくるし、時には雪も舞うので、文字通り「寒風吹きすさぶ」毎日です。 この年末年始、エジプト大使のお勧めもあったので、お許しをいただいて休暇をエジプトで過ごしました。 5,000年の歴史の重みというのはそれはそれは凄いもので、それこそ聖書以前の世界が普通に目の前に広がっているんですからその迫力には言葉もありません。 世界観が変わる経験

謎の新興国アゼルバイジャンから|#40 去り行く世代から学ぶべきこと

みなさんあけましておめでとうございます。 昨年は明治維新(1868年)から150年の節目の年でした。そして今年は2019年、平成最後の年です。太平洋戦争の終結は1945年ですから、あれから73年以上の歳月が流れたことになります。 明治維新から日中戦争が(本格的に)始まった1937年(盧溝橋事件)までが69年、太平洋戦争が始まった1941年までが73年ですから、今や「戦後」は先の大戦を挟んで近現代日本の歴史の半分以上の長さとなったわけです。 厚労省の現役時代、年金と並んで、高

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#39 私の教養主義復権論(その5―終)何故教養が大事なのか

みなさんこんにちは。 「私の教養主義復権論」の5回目、最終回です。今回は長くなるので「枕」はありません。悪しからず。 ここまで、「正解を教える教育」の負の側面について述べ、疑うこと=批判的考察の重要性、多様な考え方・多様な価値観を理解することのできる「知の体系」「思考の枠組み」=OSとしての「教養」を身につけること、自らの「理性」と「感性」をはぐくみ、既成の「正解」にとらわれない自由な知的営為・創造的実践を行うことこそが困難な時代を乗り越えて行くために必要であることなどなど

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