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年金時代(無料版)

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2023年8月の記事一覧

人事・労務実務に役立つ!『令和5年度版労働・社会保険法令の改正対応リスト-令和5年以降に変わる15のポイント-』監修 ドリームサポート社会保険労務士法人

令和5年3月に社会保険研究所から発刊しました「令和5年度版 労働・社会保険法令の改正対応リスト-令和5年以降に変わる15のポイント-」は、会社の人事・労務に携わる方に必要な令和5年4月以降の労働・社会保険制度の改正事項について、15のポイントに整理して解説しています。ここでは15の改正事項の概要と、冊子の参照ページを紹介します。 ポイント1:令和5年4月施行ー月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げ 1ヵ月に60時間を超える法定時間外労働に対し、会社は50%以上の

#42 運送業の2024年問題

運送業の2024年問題とは 働き方改革の一環として、時間外労働の上限規制が規定された労働基準法が改正されました。 大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から既に適用されているところ、2024年4月からは、適用猶予されていた自動車運転業務・建設業・医師等にも適用が開始されます。 これまでトラック運転者等の労働環境は、高齢化による労働力不足やEC市場拡大による物流量の増加等により長時間労働が慢性化していました。自動車運転業務に対する規制は5年間の猶予が与えられ

男性の育児休業取得率は17.13%ー厚労省が令和4年度雇用均等基本調査を公表

前年度から3.16ポイント上昇 厚生労働省が7月31日に公表した令和4年度雇用均等基本調査の事業所調査によると、男性の育児休業の取得率は17.13%となり、前年度(13.97%)から3.16ポイント上昇した。一方、女性の育児休業の取得率は80.2%となり、前年度(85.1%)から4.9ポイント低下した。 なお、調査は令和4年10月1日時点の状況について、常用労働者5人以上の3,339事業所の回答を集計しており、同年10月に施行された改正育児・介護休業法による産後パパ育休を

夫婦の育児の負担割合は依然として妻が約7割占めるー全国家庭動向調査

国立社会保障・人口問題研究所(田辺国昭所長)は8月22日、令和4年(2022年)に実施した全国家庭動向調査結果を公表した。それによると、夫婦の1日の平均育児時間は以下のとおりで、育児時間の約7割(69.8%)を妻が負担していることがわかった。 だが、2018年の前回調査に比べると、夫の平均育児時間は平日で31分、休日で101分増加しており、夫の育児時間は増加傾向にある。 図 夫婦の1日の平均育児時間の推移 育児等の相談相手は「夫」が「親」を上回る そうした傾向を受けて

再分配前の所得格差は過去2番目の大きさに――令和3年所得再分配調査結果

厚生労働省は8月22日、令和3年所得再分配調査結果を公表した。この調査は、社会保障制度の給付と負担、税負担が所得の分配にどのような影響を与えているかを明らかにするもので、おおむね3年ごとに実施しているが、今回の調査はコロナ禍の影響により1年遅れて実施した。 所得再分配調査では、0から1の間で数値が高いほど格差が大きいことを示す「ジニ係数」を算出するが、令和3年調査では年金などの社会保障給付を含まない当初所得のジニ係数が0.5700となり、平成26年調査の0.5704に次ぐ大

令和5年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,004円―全国で答申出そろう

厚生労働省は8月18日、令和5年度の地域別最低賃金の改定額について、全国加重平均で1,004円になると公表した。この日までに出そろった全国の地方最低賃金審議会の答申額を集計したもので、令和4年度(961円)から39円~47円の引き上げとなり、全国加重平均で43円上昇する。各都道府県の最低賃金は、10月1日から14日にかけて順次適用される見通しだ。 同省の中央最低賃金審議会が7月28日に示していた目安は39円~41円の引き上げで、目安どおりの改定となれば、全国加重平均は前年度

令和5年度最低賃金改定額の目安は41円引き上げ―全国加重平均1,002円へ

厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月28日、令和5年度の地域別最低賃金改定の目安を39円~41円の引き上げとする答申を取りまとめた。昭和53年度の目安制度創設以来、過去最高額となる。 今後、各都道府県の地方最低賃金審議会において目安を参考に審議し、改定額を決定するが、目安どおりの引き上げとなれば、全国加重平均は令和4年度の961円から41円(4.3%)上昇して1,002円となり、政府目標であった全国加重平均1,000円を超える見通しだ。 実際の最低賃金額の改定は、10月頃を目

「繰下げみなし」と「特例的な繰下げみなし」は、どう違うのか?

前回の「5年前の繰下げみなし増額は、意外と難しい」の記事に、たくさんのスキマーク(♥マーク)を付けていただきましたので、今回も繰下げに関係する事例について書きましょう。 「繰下げみなし」と「特例的な繰下げみなし」の用語を確認!いくつかのパターンで、「繰下げみなし」と「特例的な繰下げみなし」の違いについて、考えていきたいと思います。 その前に、「繰下げみなし」と「特例的な繰下げみなし」の用語の確認をしておきましょう。 というのも、「繰下げみなし」と「特例的な繰下げみなし

適用拡大の広報についてアドバイザー会議を新設――年金広報検討会

厚生労働省の年金広報検討会(座長=上田憲一郎・帝京大学経済学部経営学科教授)は8月9日、被用者保険の適用拡大や若年者向けの年金広報などについて審議した。2024年10月から従業員数が50人を超える企業等に被用者保険の適用範囲が拡大されるが、政府の全世代型社会保障構築会議が取りまとめた報告書では、いわゆる「就業調整」の問題に対する好事例を集約し、具体的なメリットを広報コンテンツやその活用法について検討することが盛り込まれている。そのため、「被用者保険の適用拡大に関する効果的な広

令和4年度厚生年金・国民年金の収支決算の概要~時価ベースの年金積立金は過去最高

厚生労働省年金局は8月4日、厚生年金・国民年金の令和4年度収支決算の概要を公表した。 【厚生年金】 厚生年金における令和4年度収支決算では、歳入は49兆1,516 億円となり、前年度より1,175 億円増加した。これは被保険者数の増加や平均標準報酬月額の上昇等により、保険料収入が増加したこと等によるもの。 歳出は48 兆4,628億円で、基礎年金の給付に要する費用の増加等により基礎年金勘定への繰入(基礎年金拠出金)が増加したこと等から、前年度より 92億円増加した。 この結果

#15 労働者協同組合は究極の働き方改革と言えるのではないか

 労働者協同組合の組合員の賃金は、どう決められるのだろうかと考えた。  労働者協同組合の組合員は、労働者協同組合と労働契約を締結するから、最低賃金は保障されるはずだ。また、労働者協同組合は、「地域における多様な需要に応じた事業」(労働者協同組合法第一条)を行い、組合は「営利を目的としてその事業を行ってはならない」(同法第三条第三項)とも法律で規定されているから、需要に応じて提供される生産物やサービスは、「商品」という性格よりも、公共財や公共サービスに近い性格ではないかと考え

厚労省が家事使用人(家政婦)の実態調査結果を労政審に報告

厚生労働省は8月1日、労働政策審議会労働条件分科会を開催し、家事使用人に係る実態調査結果を報告した。 家事使用人(家政婦)については、個人家庭と契約してその指揮命令の下、家庭内で家事等に従事することから、雇主及びその家族の私生活と密着している点で、指揮命令関係が通常の労働関係とは異なるとして、労働基準法の適用除外(法第116条第2項)とされている。 だが、長時間の家事労働の末に亡くなった当時68歳の女性が過労死だと認められなかったのは不当だとして女性の夫が国の処分取り消しを求

#14 AIは「神」になってしまうのか

 AIが、ひとがやっている仕事の多くを、ひとに代わってやってくれるようになるという。私の代わりに、AIが原稿を書いてくれたら、楽だし、編集部の人手不足も解消できるんだがなあ。そんなことを考えていたら、「グーグルが記事作成AI 報道機関向け開発」という記事が新聞に載っていた(日本経済新聞2023年7月21日(夕刊))。とはいえ、その記事にあったが、報道機関は記事作成AIの導入には慎重のようだ。 「AIに仕事を奪われる職業」って何ですか、とAI(Google検索)に聞いてみた。

平均寿命は2年連続で低下ーー令和4年簡易生命表

厚生労働省は7月28日、「令和4年簡易生命表」の概況を公表した。令和4年の男の平均寿命は81.05年となり、令和3年の81.47年を0.42年下回る結果となった。女の平均寿命は87.09年で、令和3年の87.57年を0.49年下回り、男女ともに2年連続の低下となった。厚労省は2年連続の低下については、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいと見ている。 平均寿命の国際比較を見ると、男は①スイス81.60年②スウェーデン81.34年③オーストラリア81.30、女は①日本87.09