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年金時代(無料版)

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2023年6月の記事一覧

[寄稿]国民皆年金の保険料納付の促進策について~新たな統一的保険料免除制度を提案する~

喜多村 悦史/元内閣府経済社会総合研究所統括政策研究官、博士(社会福祉学) 国民年金(基礎年金)はすべての国民が加入する制度 国民年金年金制度にはすべての国民(正確にはすべての国内居住者)が加入する。「加入できる」のではなく、法律の規定により当然に「加入している」のであり、有業者にとどまらず、主婦(主夫)も、学生も、長期失業者も、引きこもり若者も、障害者、若年認知症、刑事施設収監者も例外なく被保険者なのである。  なぜそういう制度設計になっているか。理由は国民すべてに漏れな

[インタビュー]このひとに聴く④坂本純一さん

年金制度の所得再分配機能を 維持していくためには、 基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドの 調整期間を一致させていくことが必要です前回改正の年金部会が「年金制度の所得再分配機能の維持」を次期制度改革の課題に加える —―2019(令和元)年の財政検証に伴い、年金制度改革を検討してきた社会保障審議会年金部会が「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(令和元年12月27日)をとりまとめているのですが、その中で、「今後の年金制度改革の方向性」として、「年金制度の所得再分配機能

育児・介護と仕事の両立支援でテレワーク導入を企業の努力義務に――厚労省研究会

厚生労働省の今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会は6月12日、育児・介護と仕事の両立支援制度の充実に関する対応方針を示した報告書案を大筋で了承した。報告書は、育児や介護などのライフイベントにかかわらず、すべての労働者の働き方改革を一層推進し、「残業を前提としない働き方」をめざして取り組んでいく重要性を強調した上で、労働者の希望やニーズに応じて気兼ねなく利用できる柔軟な両立支援制度の構築に向け、具体的な制度の見直しの方向性を提示した。同省は報告書等を踏まえ、労働政策審

その繰下げ受給の選択は大丈夫?『FOCUS! 年金改正 繰上げ受給と繰下げ受給』好評発売中!

5月末に社会保険研究所からパンフレット「FOCUS! 年金改正 繰上げ受給と繰下げ受給」を発刊しました。繰下げ受給は先送りするほどお得? 何歳になってもさかのぼって年金受給ができる? 答えは「NO!」です。以下に「繰下げ受給Q&A」のページの試し読みを公開します。 Q1 75歳以降に繰下げ請求をしたら年金額はどうなりますか。 A1 さらに年金額が増額されることはありません。 令和4年4月から、繰下げ受給の上限年齢は75歳になりました。75歳以降は、繰下げ増額率は84%で一

5年前の繰下げみなし増額は、意外と難しい! 3号厚年と1号厚年期間があったら?

令和5年4月1日に施行された、「本来受給選択時の『特例的な繰下げみなし増額』の導入」制度については、具体的な事例に当てはめて考えてみると、意外と難しいです。 したがって、通知文(年管管発0320第1号、令和5年3月20日付厚生労働省年金局事業管理課長名で、日本年金機構の事業企画部門担当理事・年金給付事業部門担当理事宛に発出された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う年金の受給開始時期の柔軟化に係る事務の取扱いについて」 )については、一読

#40 これからの時代のインターンシップ

インターンシップとは インターンシップとは、「大学等での学修と社会での経験を結びつけることで、学修の深化や学習意欲の喚起、職業意識の醸成などにつながる取り組み」と定義づけられています。 学生のうちに社会経験を積むことは、様々なメリットがあります。座学で学んでいることが、現場ではどう活用されているのかを目の当たりにすることで腹落ちしたり、改めて学びの必要性を実感したりなど、今後の学生生活にとって良い影響をもたらします。 一方、企業に足を運び、そこの企業で働く社員の方ととも

国民年金保険料の最終納付率初めて80%超える

厚生労働省と日本年金機構は6月26日、令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表した。それによると、国民年金(第1号被保険者)の令和4年度最終納付率(令和2年度分保険料)は前年度の最終納付率(78.0%)から2.7ポイント増えて80.7%となり、初めて80%を超えたことがわかった。 平成24年度最終納付率(64.5%)から10年連続の上昇で、統計を開始した平成16年度以降、過去最高を更新。日本年金機構発足当時(平成22年1月)は300万人を超えていた未納者も、令和4年度

精神障害の労災認定基準見直しへ―厚労省の専門検討会が報告書まとめる

精神障害の労災認定基準の見直しに向けて審議を続けてきた厚生労働省の専門検討会(精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会)が6月20日、報告書を大筋で取りまとめた。近日中に公表される。 業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、近年右肩上がりで増えており、令和3年の労災請求件数は2,346件と過去最多を更新。今後も増加が見込まれるなか、専門検討会は精神障害事案の審査をより迅速かつ適切に行えるよう、最新の医学的知見や裁判例等を踏まえ見直しを検討した。同省は報告書をも

マイナンバーと基礎年金番号紐づけに誤り事案なし―厚労省の宮本審議官が全年連総会で言及

全国年金受給者団体連合会(村重嘉文会長)は6月15日、定期総会を開催した。総会には、来賓として厚生労働省の宮本直樹年金管理審議官や日本年金機構の水島藤一郎理事長が参席した。 全年連の村重会長は、昨年に引き続き対面で総会を開催できることに感謝を述べる一方で、コロナ禍の影響で事業の多くが中止・延期を余儀なくされ、会員減少が加速していることに強い危機感を表明。課題である会員増強に向けて事業を推進するとともに、各都道府県の年金協会にさらなる協力を要請した。 扶養親族等申告書の電子申

マイナンバーへの紐づけは直近2年でミスなしーー日本年金機構令和4年度業務実績報告書(案)

厚生労働省の社会保障審議会年金事業管理部会(増田寛也・日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長)は5月31日、日本年金機構の令和4年度業務実績報告書(案)について審議した。機構は、新しい時代に貢献する基幹業務の推進や、オンラインビジネスモデルの着実な実現などを令和4年度の重点取組課題としていた。 厚生年金の調査対象事業所は減少 厚生年金の適用については、国税庁から提供される情報などを活用して把握した適用調査対象事業所に対する加入指導を行い、約9.6万事業所を新規適用し、約

特集は高齢者の健康をめぐる動向――令和5年版高齢社会白書

内閣府は6月20日、令和5年版高齢社会白書を公表した。高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づいて毎年国会に提出されているもので、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について記載されている。 令和5年版の高齢社会白書は、①高齢化の状況②令和4年度高齢社会対策の実施の状況③令和5年度高齢社会対策(令和5年度の各府省庁の主な施策)――の3章構成となっている。 第1章第3節では、高齢者の健康をめぐる動向について特集。内閣府では

iDeCoの拠出限度額見直しなどを要望――企業年金・個人年金部会ヒアリング

厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は6月12日、前回に引き続き関係団体からヒアリングを行った。この日は、全国銀行協会、日本損害保険協会、日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会がヒアリングに出席した。 全国銀行協会は、企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)にかかる拠出限度額を撤廃するか、少なくともさらなる引き上げを行うよう要望。また加入者の属性によって異なっている拠出限

[ねんきん最前線 市区町村VOICE]                                                                                                                                                                    東京都文京区 福祉部国保年金課国民年金係

国民健康保険の手続きに来訪された方を国民年金にご案内し、その場で必ず保険料の納付状況を確認し納付勧奨や免除手続きを行う。 年金事務所や福祉事務所とも連携した納付・免除勧奨を行い納付率向上に貢献。国保年金課の利点を生かし、国民健康保険各係と連携したスムーズな国民年金の手続きを実現 ――この度、「令和4年度市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰」の受賞、おめでとうございます。どのような取組みが評価されたのでしょうか。 中島課長 一つは国民健康保険各係(以下、国保係)との連携

令和5年度埼玉県年金委員会総会が開催される    日本年金機構に地域型年金委員の活動支援要望

 埼玉県年金委員会は5月31日、さいたま市民会館おおみや(さいたま市大宮区)において、令和5年度総会を開催。議題となった「令和4年度事業報告及び事業決算報告」および「令和5年度事業計画及び事業予算」はいずれも拍手多数をもって承認された。  議題承認後、埼玉県年金委員会の村重嘉文会長から、日本年金機構の水島藤一郎理事長および添田宏浦和地域代表年金事務所長あてに要望書が提出された。村重会長は、「当地域型年金委員会は2011年11月に設立し、2012年2月日本年金機構から示された「