マガジンのカバー画像

年金時代(無料版)

196
年金・雇用労働関連のニュースや連載記事を掲載している無料マガジンです。
運営しているクリエイター

2023年4月の記事一覧

[インタビュー]このひとに聴く③年金数理人 小野 正昭さん

人口減少社会の日本、「平等」の観点から年金制度の改革を人口減少社会では長期的に「平等」を政策目標とした社会保障が重要――前回2019(令和元)年の財政検証に伴い制度改正を検討してきた社会保障審議会年金部会は、議論を終えた2019(令和元)年12月27日、「社会保障審議会年金部会における議論の整理」をまとめていますが、そのなかで、「今後の年金制度改革の方向性」について、次のように記しています。 「公的年金制度が、2004(平成16)年改正の財政フレームの下、長期にわたり老後生活

こども・子育て支援加速化プランを公表

 政府は3月31日、「次元の異なる少子化対策」の実現を目指す「こども・子育て政策の強化について(試案)」を公表した。試案では、今後3年間を集中期間とする「こども・子育て支援加速化プラン」に取り組む方針を示した。今後、試案をベースに国民的に議論を進め、「経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針2023」(骨太の方針2023)の6月の閣議決定までに、将来的なこども関係予算の倍増に向けた大枠を提示する予定だ。  試案について議論する場として、こども未来戦略会議が設置され、

フリーランスの取引適正化を図る新法案が衆院で全会一致で可決

フリーランスと発注事業者間の取引の適正化等を図るための新たな「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」は4月6日、政府提出原案のまま衆議院本会議において全会一致で可決され、参議院に送られた。 内閣官房ホームページ▶第211回通常国会提出法案  本会議採決に先立つ同5日に内閣委員会で全会一致で可決され、その際、18本の附帯決議が付された。「本法の実効性を確保するため、本法に基づく省令・指針等を定めるに際しては、業界・業種によって契約内容が大きく異なるため、

基礎年金の年金額は2通り。年金生活者支援給付金はどうなっているのか?

すでにお伝えしているように、令和5年度の基礎年金の年金額は、新規裁定者(昭和31年4月2日以後生まれ)と既裁定者(昭和31年4月1日以前生まれ)で、2通りの年金額が存在することとなっています(詳細は「年金のプロによる年金相談ROOM 無料版 #26~#27」をご参照ください)。 では、年金生活者支援給付金(以下、文脈の流れで、単に「給付金」と表記することもあります)はどうなのでしょうか? やはり新規裁定者と既裁定者で、2通りの給付金の金額が存在するのでしょうか? 給付金

#38 月60時間超の時間外労働の割増賃金率UPに関する実務解説

2023年4月より、中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になりました。 遡ること2008年。労働者の健康確保の観点から長時間労働を抑制するために、月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が25%以上から50%以上に引き上げられ、引き上げた分に関しては割増賃金の支払いに代えて有給の休暇を付与できる代替休暇制度が創設されました。 当初、中小企業は適用を猶予されていましたが、2023年の4月より大企業とともに中小企業も適用されることとなりました。 も

厚労省が「障害者雇用ビジネス」の実態把握結果を報告

厚生労働省は4月17日、障害者雇用義務のある企業に対して障害者の就業場所となる施設・設備(農園、サテライトオフィス等)及び障害者の業務の提供等を行う事業者等について実態把握を行い、労働政策審議会障害者雇用分科会に報告した。同省が、いわゆる「障害者雇用ビジネス」の実態把握を行い、その結果を公表するのは初めて。実態把握調査は、令和5年3月末時点で障害者雇用ビジネス実施事業者23法人が運営する就業場所125ヵ所を対象に実施し、把握した就業場所ごとの利用企業数の合計は延べ1,081社

令和5年における労働災害発生状況(4月速報値)を公表

 厚生労働省(照会先:労働基準局安全衛生部安全課)は4月20日、令和5年の労働災害発生状況(4月速報値)を公表した。  死亡災害の発生状況は全体で死亡者数152人(前年同期比13.6%減)。業種別発生状況では製造業27人(同35.7%減)、建設業49人(同7.5%減)、林業8人(同増減なし)、陸上貨物運送事業27人(同35.0%増)、第三次産業30人(同33.3%減)となった。事故の型別発生状況では墜落・転落41人(同26.8%減)、はさまれ・巻き込まれ31人(同19.2%増

企業年金・個人年金部会で私的年金制度の今後の検討の視点を議論

 第21回社会保障審議会企業年金・個人年金部会が4月12日開催され、厚生労働省は「私的年金制度(企業年金・個人年金)に関する今後の検討における主な視点」を部会に対して提示した。  それによると、経済・社会の変化から私的年金制度に求められていることとして、⑴多様な働き方の中で早期から継続的に資産形成を図ることができるようにする⑵個々の事情に応じて多様な就労と私的年金・公的年金の組合せを可能にする――ことを指摘。  今後の検討における主な視点としては、①国民の様々な働き方やライフ

毎月勤労統計調査の令和5年1月分結果確報と2月分結果速報を公表

 厚生労働省は4月7日、毎月勤労統計調査の令和5年1月結果確報について公表した。それによると、現金給与総額は27万6,984円(前年同月と比較して0.8%増)となった。うち一般労働者が36万989円(同1.4%増)、パートタイム労働者が9万9,163円(同1.8%増)となり、パートタイム労働者比率が32.08%(同0.68ポイント上昇)となった。なお、一般労働者の所定内給与は31万9,227円(同1.5%増)、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,281円(同3.2%増)と

年金機構が社保協定適用証明書交付の各種申請書の提出を呼びかけ

 日本年金機構は4月14日、社会保障協定の適用証明書の交付を受けるための各種申請書を早めに提出するようホームページで呼びかけた。  日本と社会保障協定を結ぶ国に派遣される従業員が、相手国での社会保障制度への加入を免除されるためには、日本の制度に加入していることを証明する適用証明書の交付を受け、派遣先相手国に提示または提出する必要がある。  例年、5月前後は適用証明書の交付を受けるための各種申請書の提出が多くなり、適用証明書の発行までに通常よりも日数を要することがあるので、余裕

被用者保険の適用促進で労働行政と社会保険行政の連携を指示

厚生労働省は3月31日、労働基準局長・年金管理審議官連名通知「被用者保険の更なる適用促進に向けた労働行政及び社会保険行政の連携について」を都道府県労働局長と日本年金機構理事長に向けて発出した。昨年12月にまとめられた全世代型社会保障構築会議報告書を踏まえて出されたもの。通知では、フリーランスでも労働者に該当する場合があることを踏まえ、健康保険法や厚生年金保険法の適用に当たり、労働基準監督署で、労基法上の労働者であると判断した事案は年金事務所に情報提供を行い、被用者保険の

令和3年度の公的年金財政状況報告を審議ーー第96回年金数理部会

厚生労働省の社会保障審議会年金数理部会(部会長=翁百合・日本総合研究所理事長)は3月30日、第96回部会を開催し、令和3年度の公的年金財政状況報告について審議した。公的年金財政状況報告は、公的年金各制度における毎年度の決算や財政検証との比較を踏まえ、各制度の財政状況を分析・評価したもの。報告書の冒頭に掲載している「公的年金財政状況報告-令和3(2021)年度-(ポイント)」は、「一般の人にもわかりやすく」という観点から議論を重ね、年金財政のしくみと現況、これに対する評価を簡潔

年金制度改正に向け社保審・年金部会が本格的な議論を開始

(こちらは4月5日に「Web年金時代」に掲載したものです。) 社会保障審議会年金部会(菊池馨実部会長)は3月28日、次期年金制度改正に向けて本格的な議論を開始した。この日は年金制度を取り組む経済社会状況の変化や、昨年12月に取りまとめられた全世代型社会保障構築会議報告書について年金局から説明を受けた後、フリーディスカッションを行った。委員からは、短時間労働者への被用者保険の適用拡大をはじめ、第3号被保険者の在り方や基礎年金の在り方、遺族年金の見直しなどについて幅広く意

就業者数・雇用者数の実績が見通しを上回る──2019年財政検証の経済指標と実績の動向が示される

(こちらは3月1日に「Web年金時代」に掲載したものです) 厚生労働省は2月24日、2019年財政検証で設定した経済指標と実績の動向について、社会保障審議会年金部会の「年金財政における経済前提に関する専門委員会」の第2回会合に提出した。その中で2019年から2021年の就業者数・雇用者数は、2019年財政検証の見通しよりも実績が上回っていたことが示された。たとえば2019年財政検証では、「労働参加が進むケース」でも2021年に6,600万人に達しないと想定されていたが、実績