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#4 企業年金のもらい忘れに注意!

年金相談にいらしたNさんに「請求されていない厚生年金基金の年金があります。年金額は、年10万円ほどです」と説明したところ、「そうなんですか。心当たりがないんですけど…。」と首をかしげていらっしゃいました。
本来なら年金が増えるので良かったというべきところでしょうが、本当にもらえるのかしら?と疑問に思っているようでした。
今回は、企業年金のもらい忘れについてご説明しましょう。


企業年金に加入している?していない?

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員の人が加入する厚生年金保険があります。
公的年金制度は、建物の構造にたとえて、国民年金を1階部分、厚生年金保険を2階部分といいます。
さらに、老後生活資金を確保するための確定給付企業年金や厚生年金基金などの「企業年金」を3階部分と呼んでいます。
1階部分と2階部分については、ねんきん定期便などで自分の年金加入状況を確認することができます。
ところが、3階部分については、自分が企業年金に加入しているかどうかもわからない(覚えていない)という人もいらっしゃいます。

企業年金には主に3つの種類がある

それでは、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金について、見ていきましょう。
【確定給付企業年金】
確定給付企業年金とは、労使合意のもと、将来、従業員が受け取る給付額を設定し、会社はその給付額に見合う掛金を拠出して資産運用を行うというものです。
会社は、運用の責任を負うため、運用環境が悪化するなどして年金資産に積立不足が生じた場合、不足分の穴埋めをしなければなりません。
なお、規約で定めていれば、加入者(従業員)が掛金の一部を拠出することもできます。
【企業型確定拠出年金】
企業型確定拠出年金とは、会社が拠出する「掛金」が確定している企業年金です。
加入者(従業員)は、会社が拠出した掛金の運用先(運用商品)を選択します。運用結果によって給付額(年金資産)が変動(増減)しますので、加入者が運用の責任を負うことになります。
なお、2012年1月から「マッチング拠出制度」といい、規約で定めていれば加入者が自ら掛金を拠出することもできます。
【厚生年金基金】
厚生年金基金とは、国が行う老齢厚生年金の一部(報酬比例部分)の支給を代行し、これに会社独自の上乗せ給付をすることができるというものです。
バブル経済崩壊等で運用環境が悪化するなどして、代行部分の積立に不足が生じるケースが発生しました。
現在は、厚生年金基金の解散や他の企業年金制度への移行が進み、厚生年金基金の新規設立は認められていません。

自分が加入している企業年金の確認方法

自分がどのような企業年金に加入しているか調べる方法は、図表1をご参照ください。

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