厚労省がかかりつけ医の制度整備の案を提示 医療機関はかかりつけ医機能を都道府県に報告(11月28日)
厚労省は11月28日の社会保障審議会医療部会(永井良三部会長)に、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の案を提示した。「かかりつけ医機能報告制度」の創設と「医療機能情報提供制度」の拡充の二本立てとなっている。
これにより、国民・患者がニーズに応じて、かかりつけ医機能を有する医療機関を選択し、利用できる環境を整備する考えだ。厚労省案に対し、委員からはさまざまな意見が出た。
新たに創設する「かかりつけ医機能報告制度」では医療機関が、今後、明確化するかかりつけ医機能を都道府県に報告する(図1)。この報告に基づき、都道府県は地域におけるかかりつけ医機能の充足状況や、これらの機能をあわせ持つ医療機関を確認・公表した上で、地域の協議の場で不足する機能を強化する具体的方策を検討・公表するとしている。
報告するかかりつけ医機能としては、高齢者の場合を例示した。具体的には、◇幅広いプライマリケア等の外来医療の提供◇休日・夜間の対応◇入退院時の支援◇在宅医療の提供◇介護サービス等との連携がある。 これらの機能を担う医療機関であることの意向を、地域の協議の場で確認し、かかりつけ医機能を備える医療機関として位置付けると考えられる。なお、これらの機能は、医療機関単独で提供する場合と、複数の医療機関が連携して提供する場合がある(図2)。
都道府県は、かかりつけ医機能の充足状況を確認した上で、地域の協議の場で、不足する機能を強化する方策を検討し、公表するとしている(図3)。例えば、地域で不足する機能を担うことを既存または新設に医療機関に要請することや、研修や支援の企画の実施、医療機関同士の連携を促す試みなどが例示されている。
一方、現状では、国民・患者に地域の医療機関に関する情報などを提供する制度として、医療機能情報提供制度があり、都道府県がかかりつけ医機能を公表している。しかし、現状の機能に対しては、具体性が乏しい、あるいは具体的だが診療報酬点数であり理解しづらいとの問題が指摘されてきた。
これに対し、今回の厚労省案は、医療機能情報提供制度を見直し、かかりつけ医機能の定義を法定化するとともに、国民・患者への情報提供の強化を図るものとしている。かかりつけ医の定義としては、「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」とした。
その上で、今後の情報提供項目のイメージを示している(図4)。例えば、◇対象の別(高齢者、子どもなど)◇医療機関の医師がかかりつけ医機能に関して受講した研修◇入退院時の支援など医療機関との連携の具体的内容─など、国民・患者目線でわかりやすいものに見直す。
(画像はいずれも、第93回社会保障審議会医療部会(令和4年11月28日)資料)