感染症・災害での通所介護等における報酬の特例が固まる─介護給付費分科会が令和3年度介護報酬改定に関する審議報告案を概ね了承(12月18日)
社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は12月18日、令和3年度介護報酬改定に関する審議報告案について、概ね了承した。
審議報告案では、前回12月9日の分科会で検討された▽感染症・災害対応のための通所介護等の特例措置と▽見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の見直し等について、厚労省は一部を修正して提示した。
感染症等対応の報酬での評価に大規模型通所介護等を対象にすることや、見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の対象サービスの拡大は取りやめることを示した。
感染症等対応の報酬での評価に大規模型通所介護・通所リハも対象に
「感染症・災害対応のための通所介護等の特例措置」では、感染症や災害の影響により利用者が減少した場合に、希望する事業所から届出があった場合に特例の対象とすることを示した。特例は前回提案した次の2点。
まず①通所介護・通所リハビリテーションの大規模型事業所を対象として特例的な規模区分の変更を可能とする。前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数が減少した月の実績を基礎として、小さい規模区分の報酬を算定できるとした。利用者減の翌月に届出し、翌々月から新たな報酬を適用する。さらに今回、利用者数の実績が前年度平均に戻った場合にはその翌月にあらためて届出することを明示した。翌々月までは小さい規模区分が適用される方向だ。
②報酬での特例的な評価も行う。新たな加算を導入する方向だ。大規模型も含む通所介護・通所リハ、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護を対象とする。前回の提案では、大規模型は対象とされてなく、分科会での意見を踏まえて対象とした。
特例では、延べ利用者数の減少が生じた月の実績が、前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者1人当たりの経費の増加に対応するための評価を行う。この対応は、区分支給限度基準額の算定には含めない。届出・適用の扱いは①と同様である。
大規模型では、一度の利用者の減少につき、①又は②のいずれかの算定が可能となる。運用について現時点で、まず①の対応を図ることとし、その対応ではカバーできない場合に、②で対応することを想定している。
現在の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた報酬算定の特例(新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報))は3月末で廃止し、①と②を令和3年度当初から適用する予定だ。
なお厚労大臣と財務大臣の12月17日の折衝で令和3年度介護報酬改定の改定率が+0.70%に決定し、そのうち0.05%で新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価を行うことになった(令和3年9月末までの間)。この特例的な評価の詳細について厚労省は別途、検討していく。年明けの社会保障審議会への改定案の諮問では明示する方向だ。
見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の対象サービスの拡大は取りやめ
「見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の見直し」では、同加算の対象サービスについて、特養や短期入所生活介護に加えて、老健施設や介護医療院、認知症グループホーム、短期入所療養介護にまで拡大することを示していたが、前回出された意見を踏まえ、取りやめた。
厚労省は来年度以降にさらに実証を重ね、将来的に対象サービスの拡大を検討する方向だ。
見守り機器等を活用した場合の夜勤職員配置加算の職員配置を緩和した新設要件(0・6人配置)の届出では、利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担を軽減するための委員会の設置をはじめ、職員の十分な休憩の確保等の要件に基づいて事前に3か月以上試行し、委員会で確認することを求めている。前回の分科会で示された審議報告案では、委員会に夜勤職員が参加することを示していた。今回、それに加えて、「現場職員の意見が適切に反映できる」よう、夜勤職員のみならず「実際にケア等を行う多職種の職員」が参加することを明示した。
また見守り機器を導入した利用定員26人以上の特養(従来型)の夜間の配置基準の緩和や、見守り機器等を活用した場合の日常生活継続支援加算(特養)や入居継続支援加算(特定施設入居者生活介護)の介護福祉士の配置要件の緩和でも同様の追記が行われた。
加えて、見守り機器を導入した利用定員26人以上の特養(従来型)の夜間の配置基準の緩和では、「常時1人以上(利用者の数が61人以上の場合は常時2人以上配置)する」ことを明確にした。
見守り機器等を活用した場合の夜勤職員配置加算や特養(従来型)の夜勤配置の緩和、日常生活継続支援加算等の会福祉士の配置要件の緩和について、前回示した要件や緩和する配置数に修正は入らなかった。