新型コロナで中川会長「通常医療もひっ迫、各地で医療崩壊」(4月28日)
日本医師会の中川俊男会長は4月28日の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大の現状について「通常医療もひっ迫しており、各地で医療崩壊が始まっている」と述べた。
変異株の流行に対し、「現場の医師からは『従来株の第3波までとは全く病態が違う。違う病気であり、別の感染症と考えなければならない』という声が届いている」と危機感を表明。 その上で、「通常医療もひっ迫している。わが国が世界に誇ってきた公的医療保険制度による国民皆保険が危機にある。各地で医療崩壊が始まっている」と述べ、がん手術の延期や脳卒中で倒れた患者の受け入れ病院が見つからないなどの例をあげた。
医療提供体制の課題として医療機関の役割分担が必要であるとし、「重症者は特定機能病院と基幹病院、中等症患者は重点医療機関が中心的な役割を果たすことになり、それらの病院の通常医療を他の医療機関に役割を分担させることで、地域全体で面として新型コロナの医療体制を強化していかなければならない」と訴えた。
3回目となる緊急事態宣言については「今回の期間は2週間とかなり短い。重症者は新規陽性者から遅れて出てくるため、2週間では感染者数は下がり切らない可能性がある。解除の基準は期間ではなく、陽性者数の減少や病床使用率、病床ひっ迫度の改善などの成果型にすべきだ」と提案。具体的には、東京都は1日当たりの新規感染者数が100人以下となることをあげた。
一方、4月26日の経済財政諮問会議や4月15日の財政制度等審議会財政分科会で指摘された、かかりつけ医機能の制度化については「フリーアクセスを阻害し、以前に後期高齢者医療制度導入のときに見られたように国民の理解を得られず、大混乱を招くおそれがある」と反対した。