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令和4年度診療報酬改定の答申書附帯意見を了承(2月2日)

中医協総会は2月2日、令和4年度診療報酬改定の答申書附帯意見案を了承した。

1月28日の議論を踏まえ、不妊治療の保険適用に伴う情報提供のあり方や、明細書の無料発行に関して追記するとともに、医薬品・医療機器の保険給付範囲のあり方に関する項目を追加した。

不妊治療の保険適用については、特に公益側委員から、患者・住民への情報提供に関する検討が不十分との指摘があり、「学会等における対象家族・年齢、治療方法、保険適用回数、情報提供等に関する検討状況を迅速に把握する」との文言を加えた。

明細書の無料発行については、令和4年度改定での対応は行われなかったが、特に支払側委員からの要望で、令和6年度改定に向け、「訪問看護レセプトの電子請求が始まること等を踏まえ、患者への情報提供の促進、医療の透明化の観点」から促進を検討することの文言を加えた。

医薬品・医療機器、医療技術の評価の保険適用範囲のあり方については、支払側委員が、社保審・医療保険部会だけでなく、中医協でも議論の対象にしてほしいと要望していた。

答申書附帯意見(案)

令和4年2月2日

(全般的事項)
1 近年、診療報酬体系が複雑化していることを踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討すること。

(入院医療)
2 一般病棟入院基本料や高度急性期医療に係る評価、地域で急性期・高度急性期医療を集中的・効率的に提供する体制について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、入院患者のより適切な評価指標や測定方法等、入院料の評価の在り方等について引き続き検討すること。

3 地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料等について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、求められている役割の更なる推進や提供されている医療の実態の反映の観点から、入院料の評価の在り方等について引き続き検討すること。

4 DPC/PDPS、短期滞在手術等基本料について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、医療の質の向上と標準化に向け、診療実態を踏まえた更なる包括払いの在り方について引き続き検討すること。

(かかりつけ医機能、リフィル処方、オンライン診療、精神医療)
5 かかりつけ医機能の評価について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、医療計画の見直しに係る議論も踏まえながら、専門医療機関との機能分化・連携強化に資する評価の在り方等について引き続き検討すること。また、紹介状なしで受診する場合等の定額負担、紹介受診重点医療機関の入院医療の評価等について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、外来医療の機能分化・強化、連携の推進について引き続き検討すること。

6 処方箋の様式及び処方箋料の見直し等、リフィル処方箋の導入に係る取組について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、適切な運用や活用策について引き続き検討すること。

7 オンライン診療について、今回改定による影響の調査・検証を行い、運用上の課題が把握された場合は速やかに必要な対応を検討するとともに、診療の有効性等に係るエビデンス、実施状況、医療提供体制への影響等を踏まえ、適切な評価の在り方等について引き続き検討すること。

8 精神医療について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、適切な評価の在り方について引き続き検討すること。特に経過措置の運用について注視しつつ、精神科救急医療体制加算の評価の在り方について引き続き検討すること。

(働き方改革)
9 医師の働き方改革の推進や、看護補助者の活用及び夜間における看護業務の負担軽減、チーム医療の推進に係る診療報酬上の見直しについて、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、実効性のある適切な評価の在り方等について引き続き検討すること。

(在宅医療等)
10 在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の拡大と質の向上に向け、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、適切な評価の在り方を引き続き検討すること。

(医療技術の評価)
11 診療ガイドライン等に基づく質の高い医療を進める観点から、診療ガイドラインの改訂やレジストリ等のリアルワールドデータの解析結果を把握し、それらを踏まえた適切な医療技術の評価・再評価を継続的に行うことができるよう、医療技術の評価のプロセスも含め引き続き検討すること。また、革新的な医療機器(プログラム医療機器を含む)や検査等のイノベーションを含む先進的な医療技術について、迅速且つ安定的に患者へ供給・提供させる観点も踏まえ、有効性・安全性に係るエビデンスに基づく適切な評価の在り方を引き続き検討すること。

(歯科診療報酬)
12 院内感染防止対策に係る初診料・再診料の見直しについて、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、院内感染防止対策の推進に資する評価の在り方について引き続き検討すること。

(調剤報酬)
13 調剤基本料及び地域支援体制加算の見直しや調剤管理料及び服薬管理指導料の新設、オンライン服薬指導の見直しについて、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換を推進するための調剤報酬の在り方について引き続き検討すること。

(後発医薬品の使用促進)
14 バイオ後続品を含む後発医薬品使用の推進について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、後発医薬品の供給状況や医療機関や薬局における使用状況等も踏まえ、診療報酬における更なる使用促進策について引き続き検討すること。

(その他)
15 新型コロナウイルス感染症への対応に引き続き取り組みつつ、新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築に向け、感染対策向上加算、外来感染対策向上加算等について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、診療報酬上の対応の在り方について引き続き検討すること。

16 オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、オンライン資格確認の導入状況も踏まえ、評価の在り方について引き続き検討すること。

17 不妊治療について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、情報提供の在り方に関する早急な検討の必要性も踏まえ、学会等における対象家族・年齢、治療方法、保険適用回数、情報提供等に関する検討状況を迅速に把握しつつ、適切な評価及び情報提供の在り方等について検討すること。

18 医薬品、医療機器及び医療技術の評価について、保険給付範囲の在り方等に関する議論の状況も把握しつつ、適切な評価の在り方について引き続き検討すること。

19 明細書の無料発行について、施行状況や訪問看護レセプトの電子請求が始まること等を踏まえ、患者への情報提供の促進、医療の透明化の観点から、更なる促進の取組について引き続き検討すること。

20 施策の効果や患者への影響等について、データやエビデンスに基づいて迅速・正確に把握・検証できるようにするための方策について引き続き検討すること。

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