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#3|基礎年金の拠出期間の延長の論点

高橋 俊之(たかはし としゆき)/日本総合研究所特任研究員、前厚生労働省年金局長

 2025年に予定される次の年金制度改正に向けて、厚生労働省の社会保障審議会年金部会の議論が行われています。日本総合研究所特任研究員で前厚生労働省年金局長の高橋俊之さんが、より良い社会に向けた年金制度の課題について、わかりやすく説明し、皆さんと一緒に考えていきます。

 連載第3回の今回は、まず、少子高齢化と年金についての考え方を説明した上で、基礎年金の拠出期間を40年から45年に延長する意義と論点について、昨年10月24日の第8回、11月21日の第9回、本年3月13日の第13回の年金部会の議論を振り返りながら、解説します。


1.少子高齢化と年金

⑴平均余命は60年間で10年も伸びた。今後50年でさらに3年伸びる

 65歳の人の平均余命は、女性が24.88年(89.88歳まで生きる)で、男性が19.97年(84.97歳まで生きる)です。65歳の女性の62%、男性の37%が、90歳まで生きると見込まれているわけですから、かなりの長寿社会です。国民皆年金が発足した1961年には、65歳の人の平均余命は、女性は14.10年、男性は11.88年でしたから、60年間で10年も長くなっています。「日本の将来推計人口」によれば、2070年には、女性が28.36年、男性が23.14年と、さらに3年長くなります。

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